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Vivre dans la révolution~革命に生きて
前線へ~オーストリア民謡
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1793年12月
ルイはパリを出発して、アルザスへと向かった。
ライン戦線へと出発した。その合間の小旅行。
フィリップ・ル・=バ、その妻エリザベート、フィリップの妹アンリエットも一緒だった。
ルイは馬車の振動が、妊婦であるエリザベートの体に悪影響を与えないか心配し、彼女の馬車の乗降の際には足元への配慮を怠らなかったという。
「マダム・エリザベート。足元には気を付けて」
ルイはそれだけでなかった。
「これは笑えるわね」
長い馬 車の途中退屈しないように常に配慮して、面白い話の構想を練り上げていた。
しかし、アンリエットの笑い方は豪快過ぎる。
「だって、ルイの話は笑わずにいられない」
抱腹絶倒と言わしめるほどのばかうけな話。
ただ、ルイはそれには、少し、気になるところがあった。
「いやはや・・・純朴なお嬢さんで・・・」
*******
「あの方は・・・?」
ルイ=シャルルは怯えていたようだ。
パリのアントワーヌ・シモンのところに送り返されてしまうのか?
「ルイ=シャルル、大丈夫よ。わたしが守ってあげるわ」
ソフィーはルイ=シャルルを抱きしめていた。
*****
『父上アンリ=シャルルはルイ=シャルル王太子を自分の息子のように、わたしは弟のように可愛がっている毎日です。今は暫定的にアルザスに滞在しています。ゆくゆくは、オーストリアに移住する予定です』
ソフィーの手紙だった。
「ルイ=シャルル王太子様。無事でいらっしゃるのか・・・今、アルザスに・・・?」
「マダム・ジョセフィーヌの生まれ故郷にいるんだ・・・実はソフィーに助言をしていたんだよ」
このまま、パリにいるのはとても危険。おまけに、エベール一味が執拗にディディエたちの周辺を嗅ぎつけているのだから。
ギョームは父とジャン=クサヴィエに相談しながら、ソフィーに助言をしていた、という。
*****
「Kuckuck, Kuckuck ruft's aus dem Wald.
Lasset uns singen, tanzen und springen.
Frühling, Frühling wird es nun bald」
かっこう かっこう 森から呼ぶ声が
歌おう 踊ろう 飛び跳ねよう
春は 春はもうすぐそこ
「Kuckuck, Kuckuck lässt nicht sein Schrei'n:
Komm in die Felder, Wiesen und Wälder.
Frühling, Frühling, stelle dich ein.」も
かっこう かっこう 歌声を聴かずや
平原、草地、森へ出かけよう
春よ 春よ来い
「Kuckuck, Kuckuck, trefflicher Held.
Was du gesungen, ist dir gelungen.
Winter, Winter räumet das Feld.」
かっこう かっこう 立派な英雄よ
お前の歌は実を結んだ
冬が 冬が去っていった
(原文ママ)
****
ルジュリー邸に暫くの間、滞在していたルイたち。
「澄んだ声をしているな」
ルイとアンリエットはうっとりしている。
「ソフィー、レパートリーはあるだろう?」
フィリップとエリザベートは言う。
「次は、山のごちそう(Und jetzt gang i ans Petersbrünnele)です」
ソフィーは「山のごちそう」をフルコーラスで歌う。
「Bravo!!」
ルイたちはソフィーの歌声に魅了された。
「サン=ジュストさん?」
「ウイ?」
ルイはルジュリー邸を去ろうとしたとき、ソフィーは声をかけようとした。
「実は・・・あの・・・」
「・・・え・・・ソフィー・・・?いま・・・なんて言ったのか・・・?」
「いえ・・・何でもありません・・・マダム・エリザベート、元気なお子さんを産んでくださいね。マドモアゼル・アンリエット、サン=ジュストさんを大事にしなきゃね」
ディディエのことを少しでも話せば、ルイ=シャルルに危害が忍び寄る。
なんて、迂闊なことを言ったのだろう?
ルイたちが帰った後、ソフィーの母親マリー=ベアトリスとルイ=シャルルが戻ってきた。
「ルイ=シャルル、お帰り。そうだわ、歌を歌ってあげましょうか?」
「わあ、メルシー!」
****
作者yunaより。
ルイたちはパリを出発して、アルザスに向かいました。
ライン戦線を目指している合間を塗り、小旅行。
ソフィーの邸宅にお邪魔していました。
うっかりと、不用意なことを言いそうになったソフィーですが・・・
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