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Vivre dans la révolution~革命に生きて
生まれ変わろう~第一部・完
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処刑台は、血の生臭い匂いが容赦なく立ち込める。
スペタクルショーとはいえ、国民はその匂いに耐えなければいけない。
中には、卒倒するものもいた、という。
ギロチンはパリのあちらこちらにたてられた。
「薬屋の旦那が捕まったよ!ジャコバン党の悪口を言いふらしたそうだ!」
「どっちにしても、ギロチン送りだろうね」
「我が国フランスを立て直そうとしているとはいえ、いくらなんでも、やりすぎだ」
ディディエは精神不安定になりがちだった。ルイの豹変ぶり、エスカレートする革命。
カトリック・オラトリオ修道会付属学校時代、ルイと出会い、瞬く間に恋に落ちた。
しかし、二人は敵同士とは全く知らず・・・
食欲もなく、ただ、ベッドで休むことがあった。
ニコラやティエリはそんなディディエが心配でならない。
「ディディエ?最近、痩せたんじゃないのか?」
「そんなことないよ、兄さん」
食事も満足にとることをままならないディディエを心配した兄は、ジャン=フランソワと面会した。
ジャン=クサヴィエが考案した栄養たっぷりの料理をこしらえるも、ディディエの喉には通らなかった。
ジャン=ミシェルが遺したルセットにもかかわらず。
「ディディエ、君が食べたがっていた料理だ」
重症のディディエを心配したティエリたち。
「食べたくないよ!」
「なんてことを言うんだ!?折角、クサヴィエさんが作ってくれた食事だぞ!?」
ティエリはディディエを平手打ちをした。
「兄さんも出て行ってよ!」
*****
ジャン=フランソワはジャン=クサヴィエと入れ違うかのように、メンディー邸にやって来た。
「休学も一つの方法だろう。あまりにもディディエ君の容態が悪ければ、休学も避けられないだろう」
「・・・父はそんな勝手なことは許してくれそうにない・・・休学なんかしたら、留年は確実ですよね・・・」
「下手をすると、ディディエ君は自棄を起こしかねない。最悪の場合のことも視野に入れたほうがいいだろう」
ジャン=フランソワは、ふと考えた。
「イギリスの片田舎でゆっくりと過ごさせるのはよい方法だろう」
*****
ディディエの寝室。
「さっきは済まなかった。おまえの気持ちを理解できなくて」
ティエリはディディエの身体を拭きながら、詫びた。
「デシャンさんが父さんに説得してくれたおかげで、許可を貰えたんだ。来月辺りか、出発するといい」
「イギリスか・・・一度、行ってみたところだ。王妃様が憧れていた国の一つ・・・」
「早速、乗船券を手配してくれるだろう」
パリの喧騒を避けられる。田舎でのんびりと過ごせたら、どんなに素敵なことなのだろう。
時間だけが無情に過ぎていく現実。
殺すだけ殺して・・・全く、無意味な時間だけが過ぎるフランス。
ディディエはイギリスに行くことを待ち遠しくなってくる。
そろそろ・・・チケットは手配が終わるころだろうか・・・?
「ここで・・・パリを去れば・・・両親、兄たちと永遠の別れになるだろう・・・」
ディディエはリスクを覚悟していた。両親やティエリもどこかで非業の最期を迎えるかも知れない。
ここには・・・僕の居場所はないだろう・・・イギリス国民として生まれ変わることも可能だ。
「生まれ変わろう、新しい自分に」
******
作者yunaより。
精神をきたしたディディエ。
血の匂いが容赦なく漂うパリ市内。
ジャン=フランソワの助言で英国で過ごすべきだ、とティエリに提言します。
第二部は急展開になるの必至です。
まずは、次回はスピンオフストーリーを描いていきます。
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