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赤ずきん2
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トントントン、
「ばぁちゃん、俺だけど」
「…開いてるよ」
「久しぶり。なかなか来れなくてごめん。ばぁちゃんの好きな果実酒、持って…っ」
ドアを開けたダレルは、目の前に立っている一匹のおおかみを見て、少し驚いてから、面倒くさそうな顔をしました。
「久しぶり、あの、さ、」
「…どうしてばぁちゃんの耳はそんなに大きいの」
「えっ?」
ダレルの棒読みのセリフに、おおかみは慌てて答えました。
「そ、それは、お前の声をよく聞くためだ」
「どうしてばぁちゃんの目はそんなに大きいの」
「それは、お前をよく見るためだ」
「どうしてばぁちゃんの口はそんなに大きいの」
「それは、…」
「?なんだよ。俺を食べるためだろ?ホント、お前もワンパターンだよな」
「っ…違う」
「?何が」
「違う。耳がでかいのも目がでかいのも、口がでかいのも、本当の俺じゃない」
「はぁ?」
そう言うと、おおかみは青い光に包まれて、一人の青年になりました。
「っ?…お、まえ」
「…おおかみ男だと、狼からも人間からも煙たがられる。だから嫌になって俺は逃げだした。色々どうでもよくなって、人間をカモに悪さしてたら、お前を見つけた。その髪と目の色を理由にいじめられて、それでも戦うお前を」
「っ…」
「なのに、親父さんたちが死んでから、お前はばあさんに貰った頭巾で何もかも隠しちまって」
「っ、お前に何がわかるんだ!父さん達は殺されたんだ!俺のせいで!俺の髪や目の色が違うのは悪魔の子だからだって!俺も、あの時一緒に死ねたらっ、俺は、っ、こんな髪も目もいらないっ!!」
「…それでも俺は、お前の髪も目も、お前の全部が好きだ」
「っ…!」
「お前の親父さんたちが好きだったように、俺も、あのばあさんだって、お前の全部が好きなんだ」
「っ、」
「だから、嫌いなんて言うな。俺はあの時のお前に教えて貰ったんだ、強さを。もし、これから先お前をいじめるような奴がいたら、俺が噛み殺してやるから。」
青年の声に、ダレルは泣き笑いの声で答えました。
「つ…ふっ、ばぁか、お前が言うとリアルで笑えねぇんだよっ」
それから青年は、声を殺して泣くダレルに近づいてそっと小さな体を抱きしめました。
「…本気で言ってるんだ。俺がお前を守るって決めたからな」
「…お前に守ってもらわなきゃいけないほど俺は弱くない」
「っ…ははっ、確かに」
笑う青年に釣られてダレルも笑うと、青年はそっと赤いずきんを外しました。
頭巾から現れた銀色の髪と瞳に、青年は愛おしそうに笑うと、その美しい少年に口付けをしました。
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