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初めての友達?
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田中side
このクラスには人気者がいる。
勉強、運動、そして容姿だって完璧で誰彼構わず隔てることの無いやつだ。
その名も阿久津 昴。
名前すらイケメンなのか。
僕だって、勉強は多少できるのに…!(その他は置いといて。)
女神はこの学校に入学しろと言ったが何をさればよいのだ?
僕に与えられた試練なのは分かっていたが、この学校で何をすべきなのだ…。
その人気者を倒せば良いのか?
女神の思考は考えがたいものなのだな。
「帰るか…」
ポツリと誰も拾ってくれない小さな独り言。
今日も1人で帰ろうと思っていた時…
「田中くん。」
「…」
「田中くん?」
田中くん、呼んでいるぞ。
人を無視するなんて良い度胸の持ち主だな。
「田中 太郎くん!」
「……ぇっ?!」
ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、僕ぅぅぅ?!?!
「…え、あ、あの、」
「えーと、田中くん?」
「ひゃいっ!」
ぼ、僕に話しかけてくるなんて、なんて無礼なやつだ!
何者だ!………って阿久津くぅぅぅん?!?!
「もしよかったら、今日一緒に帰らない?」
…イッショニカエラナイ???
い、い、い、一緒に帰ろうだなんて、身の程をわきまえろ!
別に誘われて嬉しくなんかないけどな…?!
…だが、今日は特別にいいだろう。
「あ、え、僕で…よければ…。」
「ありがとう!じゃあ、行こっか!」
・
・
・
・
・
「家ってどこら辺なの?」
「あ、ぇと…こ、ここの路地をまっすぐ行った所にあるぞ。」
「ふーん」
な、なんかさっきと態度が違う気が…
その後はずっとお互いに無言。阿久津くんはすごい不機嫌そうな顔だ。
や、やはり僕と帰るなんて本望じゃないのか?罰ゲームだったりして…。
阿久津くんが荷物を持ち直そうとした時、
ドサッと鞄の中に入っていたお弁当が落ちた。
物を落とすような失態をおこしてしまうなんて、やはりこやつも人間なのだな。
僕が拾おうとした時に…
…ん?こ、これは!
僕の心を唯一癒してくれる魔女っ子レミちゃんではないか!
どうしてここにレミちゃんのキーホルダーが?
「阿久津くん…こ、これ…」
パシッと阿久津くんにキーホルダーを奪い取られてしまった。
阿久津くんの態度が急変した。
「触んな。どうせ俺なんかが持ってたらおかしいんだろ?」
…え。
「そ、そんなことないぞ?魔女っ子レミちゃんだろう。ぼ、僕も、その、す、好きだし…。」
「…………は?俺の事、馬鹿にしないの?」
「う、うん?」
何故馬鹿にするという思考に至るのは知らないが、僕も好きなんだし馬鹿にしたりなんかしないぞ。と思いながらにっこり笑いかけてやると阿久津くんは顔を真っ赤にして、
「お、お、俺、先帰るわ!!!」
と、素早い足で帰っていってしまった。
急にどうしたのだろう?
きっと、予定でも思い出したんだな。
「また、誘ってくれたりしないかな…」
風が吹いたら今にも消え入りそうな声で呟いた。
太郎は誰かと一緒に帰るなどしたことないので、どこか、心の片隅で歓喜していたのかもしれない。
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