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阿久津 side
俺は昔から心に病みを抱えていたんだ。
それは誰にも気づかれることのない気持ち。
気づかれないんじゃない。自分を偽って、気づかせようとしなかったんだ。
とある平凡な夫婦は小さな男の子を産んだ。
その男の子は、平凡な顔から産まれた事を信じさせないような美形だった。
まだ子供だったので、夫婦達は神様のプレゼントと思い大切に育てることを誓った。
その夫婦は自分の子供のせいで夫婦仲に亀裂が起きるとも知らずに…。
俺はみんなとは違う。
そう思い始めたのは物心ついた頃からだった。
小学校で親が来る時も、みんな驚いていた。
顔が違う、って。
俺はそのせいでいじめられたんだ。ただ、男子からのひがみもあったと思う。
女子からモテたい訳でもないのに、勝手に騒いで。
両親も、他の子供たちの親から避けられたりして。
そのせいで、俺の母さんと父さんは壊れてったんだ。
ある日、家の深夜に夫婦喧嘩が起こった。
俺は自分の部屋に隠れて内容なんて聞こうともしなかった。
聞きたくもないドアの隙間から聞こえてくるのは、俺の話だった。
「お前のせいだぞ!お前があんな変なやつを産んだからだ!」
八つ当たりをするかのように母さんに言う父さんの声。
「あたしのせいじゃないわ!もうイヤ!なんであんな子が産まれてきたのよ!」
自分のせいじゃないと、俺をせめる母さんの声。
俺はもういらないのかな?
その時自分の部屋のテレビに流れていた番組が『魔女っ子レミちゃん』だった。
主人公の女の子は魔女の子供だから、昔いじめられていて、それにめげずに世界を救うという色々とめちゃくちゃな番組だ。
けれど、その時心を惹かれたんだ。
めげずに頑張るってすごいんだなぁって。
魔女っ子レミちゃんのキーホルダーを買って、自分のバックに付けたんだ。
それで学校に登校したら、俺のこといじめてたやつとかみんなが、気持ち悪いって。
顔がもったいないとか、気持ち悪いとか、色々言われた。
お前らに何がわかる。何度そう思ったことか。
俺は はその日から自分を偽ることにしたんだ。
誰も本当の自分を知らない。
俺は卒業したあと、みんなから逃げるために全寮制の男子校に入学した。
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