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便利屋と白鳥【終】
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疲れ果てた喰が、隣で寝ています。
喰が大怪我をしたと情報が入ったあの日、私は本当に肝を冷やしました。助からないかもしれないと、そう聞いたからです。
私は彼の前髪を救って指先で撫でました。
「ん…」
喰は寝返りを打って、また夢の中へと戻っていきます。
あの時は私も必死でした。私に出来ることはないのかと、久しぶりに本気で頭を使って。
彼が目を覚ましたと連絡が入って安心しても、後悔が先に立ってしまうのです。
実は、今まで自分が本当に喰を好いているのか、自信が持てずにいました。
恋に恋しているだけなのでは?
彼を自己満足に利用しているだけなのでは?
そして、お礼をしにやってきた喰にあのような狡いお願いをしてしまったのです。
「…好き…ですか」
何度も彼が叫んだ言葉は、その場しのぎなのか、恋人“役”としての台詞なのか、それとも…。
「好き…ですよ。少なくとも私は」
もはや、伝えようとも思えない呪いの言葉を呟きました。
やっぱりあなたは狡い。
喰の隣で、眠気を感じながら目を閉じました。
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