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『俺と付き合おう』
その言葉にドキッとする
「それは……恋人になってほしいってこと……だよね……」
「うん。ずっと体だけの関係だった……それでいいって思ってた。だけど梓に触れるたびに心まで欲しくなっていく……
あずさはこんな体イヤだって思ってるかもしれないけど、俺は良かったと思ってる。そうじゃなきゃ俺たちがこんな関係になることもなかったし、出会わなかったかもしれない……このデートに誘ったのも少しでも俺に振り向いてほしかったから。
あずさが他に気になっている人は知ってる……それでもいい、俺はそのままの梓が好きなんだ。だから仮でもいいから恋人になってほしい」
「…」
とあの体温が……心臓の音が……呼吸が伝わってくる
無意識に震える彼の体。緊張しているのだろうか
しばらく沈黙が続く。何か言ってあげなきゃ……
すると俺を抱きしめていたとあが体を離し俺から距離を置く
「ごめん、困らせて……でも俺本気だから。」
真っすぐ俺を見つめるとあ。それを見るたび心が揺れる
もし俺が付き合わないって選択したら、とあはどうするのかな
このままの関係でいられるのかな……
「も、もし……俺がこれを断ったら?」
「何も変わらないよ。俺と梓の関係はそのまま。」
そっか、なら……
「……なんて言ってほしかった?」
「えっ……?」
とあ……?
「残念、あいにく俺はそんな優しくないよ。もし断られたら俺はもう梓の傍にいられないかもね」
「そんなの脅迫と変わらな……」
「うん、そうだよ。今俺はあずさに脅迫してるの。俺とこのままの関係を続けたかったら、付き合って」
脅迫されているのに威圧感というものは感じられない。
むしろその逆……『捨てないで』と言っている犬のような目に変わっている
俺はこういうのに弱い。孤独はつらいことを自分が知っているから……
「俺を受け入れて……」
「とあ……」
だんだんと弱弱しい声になっていく
このままのとあは放ってはおけない……だからといって恋愛感情としての『好き』という気持ちを持っていないのに受け入れていいものなのだろうか……
グルグルと頭の中を彷徨う、とあの言葉。考えても答えは見つからない
「好きだよ、あずさ……」
「とあ……」
だんだんと近づく彼の顔。キスされる手前で止められる
少しでも動けば彼の唇に触れる距離、今なら避けようと思えば避けられる
「今から3秒だけ時間あげる。逃げたいならその間に逃げて……」
逃げてほしくないはずなのにわざわざ相手のために逃げ道を作ってくれる彼
こんな彼を……優しい彼の気持ちを何で答えられないんだろう……
そんな罪悪感にかられながら俺は彼のキスを受け入れた
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