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『付き合ってる人がいるのか』
そう聞かれたときドキッとした。だって目があったから。
どうしたらいいかわからなくて目をそらす。
すると
「……っ……」
清水さんが1歩ずつ近づいてくる
なんで、なんで近づいて……目の前に清水さんの顔
ち、近い……ドクドクと心臓が鳴っているのが聞こえる
うわぁぁぁ!ち、近すぎる!キスしそうなくらい近い距離。思わず目をつぶる
すると温かく硬いものがおでこに当たる
目を開けて見ると清水さんのおでこが当たっていて……
「熱、まだ少しあるな。送っていく、家を教えろ」
ね、熱……熱を測っていたってこと……だよな、今の……
おでこが離れてた後でもドキドキしっぱなし。何だこれ、何だこれ……
本当にこれはヤバい
「く、苦しい……」
「ん?どうした?」
苦しいけどイヤな苦しみじゃない。恋なんかしたことないけど、もしかしたら本当に俺はこの人が好きなのかもしれない
名前や優しさ、抱き方とかしか知らないけど俺は本気で……
目が合うたびドキドキして優しい声を聴くたび安心して、この感情が好きじゃなかったら何だと言えるのか。
この人のこともっと知りたい、触れたい、声が聴きたい
そう思ったのは初めて……初めて本気の恋をした
だけど今の俺は……『とあ』という恋人がいる
浮気なんてしたくない、だからと言ってこの気持ちを抑えたくない
とあとは友達でいたい、だけど俺のこの気持ちがもしかしたらそれを壊してしまうかも……
嬉しい『苦しさ』とイヤな『苦しさ』が交互に心を動かす
考えなきゃいけない問題なのにそれを頭が拒否する
疲れているせいなのか?寝た方がいいみたい
今はとにかく体を休めよう。今考えてもまとまらない気がする
そのまま俺は座り込んだ
「床に座るな。車まで歩けるだろ?」
「ムリ、体がだるい……連れてって……」
俺はズルい男だ。さんざん人に迷惑かけた挙句、こうやって甘えれば何もかも受け入れてくれるなんて調子のいいことを……
それに押されれば好きでもないやつと寝るし、付き合う。自分の気持ちに気づいても自分のいいようにことを運ぼうとする
そんなに世の中甘くないっていうのに……
「はぁ……」
連れていってとしゃがみ手を広げる俺を見て清水さんはため息をつく
「そういうのは恋人の前でやれ。俺にやられても嬉しくないだろ」
そう言って俺をそのまま置いていき車の方へ戻っていった
「…」
こうなることは少し予想していた。なのに……
「痛いなぁ……」
ズキズキと心が痛む
恋をするってことは幸せってだけじゃない……ときには苦しみだって存在する
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