アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-4-
-
『いつも通り抱く』……そう言った翔空。
だけどまだ自分の中で整理できてないのだろうか。俺に触れる手は震えてる。
体に力が入ってる。それに抱き方もいつもより慎重な気がする。
「…っ……はっはっ……あ、ずさ…だいじょうぶ……か……?」
「…んンッ……だい、じょぶ……ああぁん……」
そのせいか、翔空のフェロモンが強く感じる。いつもの倍ぐらい強いフェロモン。感じたくなくてもフェロモンでやられて感じてしまう。
「んンッ、やっ…!ダメッ……あっ……とあぁぁ!」
何度も揺さぶられては翔空のものを締め付け、飲み込もうとする。
『まだ離れたくない』と言ってるように。
声が枯れても、体が限界になってきても俺の傍からいなくなるってわかってるから。
「……い、やだ……一人にしないで……おれをおいてかないで……とあ、ごめん……好きになれなくて……んンッ……」
生理的な涙、感情的な涙。どちらなのかは自分でもわからない。
いろんな感情が混じって自分でも何を言ってるのかわからなくなる。
何度も突かれてはイき続け、涙を流し、その度にキスをして。
眠る前に聞いた言葉は『ありがとう……あずさ』ということだけ。
翔空の口から『好き』という言葉は最初の1度だけしか出てこなかった。
起きると暗かった部屋がいつの間にか明るくなっていた。
「もう……あさ……」
綺麗になっていた体。脱ぎっぱなしだった衣服は綺麗に畳んで枕元に置いてあった。
隣にいるはずの翔空の姿はない。翔空が使っていたもの全て俺の家からなくなっていた。
「もう……いないんだ……」
翔空がいた痕跡は全て彼自身が持ち去っていった。
だけどリビングの机に置いてあった手紙と、彼の微かなフェロモンだけが部屋の中に残っていた。
手紙にはたった一言。
『行ってきます』
その言葉の『行』の上に『さ』と書いて消した形跡が残っていた。
たぶん『さようなら』とでも書こうと思ったのだろう。
「…いってらっしゃい……」
何度も流した涙で腫れた目の痛みに耐えながら、翔空の手紙を見てニコリとほほ笑んだ。
翔空とのことに区切りがついていたとしても部屋に残るフェロモンが俺を惑わせる。
ここにはいない翔空のフェロモン。何だか頭がおかしくなりそう。
忘れたくても忘れられない。吹っ切れていても何度も抱かれた日のことを思い出す。
家でやるんじゃなかった。こんなに人のフェロモンは持続するのか……
普通の人じゃ感じられないフェロモンでも俺にはわかる。
何度もそれを消そうとしたけど、取れるわけない。
あの日から止まったまま、時間だけが過ぎてゆく。寝られない。全然寝られない。
そんな日が1週間続いて。耐えきれなくなった俺は伊織先生の所へ行った。
「最近はどう?来なくなったから調子いいのかと思ってたけど」
「寝れません。睡眠薬ください……」
「確かに顔色悪いね……今まで眠れないなんてなかったでしょ?」
「…」
今まではセックスすれば体力がなくなっていつの間にか寝てたから良いんだけど、今回は違う。
人のフェロモンが強いのか、俺の嗅覚が敏感なせいなのか、強すぎて寝れない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
48 / 764