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「さてさて、邪魔者はいなくなったな」
邪魔者って……
清水さんが仕事へ行くと伊織先生は俺にいろいろ質問してきた。
「あれからどお?発情はしてる?」
「してないです。あ、あの時はありがとうございました。最近まで落ち着いてたんで、薬持っていなくて……助かりました」
「空ちゃんから急に連絡が来たから、何かと思えば。梓くんが発情したって聞いてビックリした。でもあれから進展あったんだね。純ちゃんと付き合うことになったんでしょ?」
「え?」
付き合う?
「え、って……付き合ってないの?」
「え、っと……」
『好き』とは言った。告白した。そして清水さんからも『好きだ』と聞いた。両想い。
だけど……
『付き合おう』なんて言われてない。言ってもいない。
「あんな恋人みたいなこと俺の前でしておいて!?付き合ってないとか言わないよね!?」
「え、と……た、確かに俺からも告白しましたし、清水さんからも『好きだ』とは言われました……だけど、これで恋人と……言えるんでしょうか……?」
「と、言うと?」
「付き合ってもないのに『付き合ってます』って言って、実は付き合ってなかった…なんてなったら、ショックだし……付き合いたいとは思ってたんですけど、いざ両想いになって考えてみるとちょっと不安で……」
両想いになったからと言って、この俺の体は何も変わらない。
たまたま清水さんに強いフェロモンを感じて、興味を持って好きになったけど。
もし清水さんの他に強いフェロモンを持った人が現れたら、俺はもしかしたら誘惑されて、そっちに行ってしまうかもしれない。
通常の俺だったらそんなことはないけど、発情したらどうなるか自分でもわからないから。
「不安なのは梓くんだけじゃないと思うよ。純ちゃんだって、そう。他の人だってみんなそう。
恋をするのに悩みがないなんてありえないと思う。不安を抱えながらもみんな、好きな人の傍にいたいから、それを隠して前向いてるの。だからといって苦しい思いしてるのにガマンはいけないよ?」
「そうですね……」
「付き合ってるか付き合ってないかは、本人に聞いてみるとして。…まぁ、付き合ってないって言ったとしても純ちゃんが梓くんに惚れてることには間違いないんだから、自信持ちな」
「ありがとうございます」
「あ、でもすごいよね。長年好きだった相手と結ばれるなんて」
・・・ん?長年?
「えっ、俺と清水さんが会ったのってつい最近ですけど……」
「あれ、聞いてない?純ちゃんと梓くんのお父さんとの関係」
「父親との関係?」
何で父親のことが清水さんと関係あるんだろう。
「聞いてないか……俺から話すことじゃないから本人から聞いてみて。たぶんだけど、最近も会ってるみたいだから」
「…わかりました……」
「今日はこれでおしまい。また何かあったら連絡ちょうだい」
「ありがとうございました」
俺は診療所を出て冷たい風が吹く中、少しだけ寄り道した。
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