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12 関係 -1-
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俺の父親は教師だった。だからなのか、頭がよく、厳しい人で。
でも時には優しくて。母親が生きてるときは、平日は仕事人間。休みの日は俺の遊び相手をしながら、仕事をする器用な人だったのを覚えている。
だけど再婚してから人が変わって、厳しさが増して。優しさもどこかへ行ってしまった。
そして……
思い出すだけでイヤになる。楽しかった思い出も、全部何もなかったかのように消えていく。
「はぁ……」
でもそんなことを思っていてもお腹は空くわけで。
「おなかすいたぁ……」
朝食を食べたはずなのにいつの間にか時間が経ってお昼になり、お腹が空き始める。
清水さんは仕事。夕方まで帰らない。『家にいていい』と言われて渡されたスペアキー。
だけど清水さんの家に行くよりもお腹が空いた俺は一刻も早くお腹を満たしたくて。
持っている少ないお金で近くのお店に入ることにした。
お店に入ると高校生くらいに見える店員さんが話しかけてきた。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「一人です……」
「カウンターかテーブルどちらになさいますか?」
「テーブルで……」
「かしこまりました。ご案内いたします」
見た目の割にはしっかりしてる子だなぁと思いつつ、案内してくれた場所に座る。
「ご注文はお決まりですか?」
「えっと……か、唐揚げ定食で……」
「かしこまりました、少々お待ちください」
注文を聞いた後、店員はキッチンの方へ行ってしまった。
一人だからカウンターでも良かったんだけど、お店の人とか横の人とかに話しかけられたことがあって……俺はそういうのが苦手なタイプだから……
それに隣の人のフェロモンにやられて、食事どころじゃなくなる場合もあったから。
注文品が届くまでお店の中を見ていた。
初めて来るところだと結構見ちゃうんだよなぁ。
お店の中を見ていると、さっきの店員さんがお客さんと話をしていた。
「なぎさ、さっきの男と何話してたの?」
「注文聞いただけだって……」
「でも何か嬉しそうに笑ってたよな?」
「営業スマイルだって……今、バイト中だよ?」
「バイト中でもそんな可愛い顔しちゃダメ」
「可愛くないって……」
どうやら客と店員は仲がいいようだ。
さっきしっかりしていた表情とは違って、柔らかい感じ。
もしかして店員さんがあの客のこと好きなのか?
それとも恋人とか……?
「すみませーん」
「はーい」
他の客に呼ばれて店員は行こうとするけど、その客は店員の手を繋ぐ。
「今、バイト中……」
「じゃあ終わったら渚からのキスちょうだい?」
「で、でも……///」
「お願い」
客は店員の目を見つめる。
甘い空気感。周りなんてどうでもいいってくらい2人だけの世界に入ってる。
バイト中なのに大丈夫か?
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