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1、清水純佑という人間の過去 -1-
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〈純佑side〉
昔は俺もごく普通の一般人だったと思う。父親は祖父の会社を継ぎ、母親は主婦。
だけど母方の親がお金持ちで、俺は将来のためにと小さい頃からいろんなことをやらされた。
自分が将来何にでもなれるように頭を良くしなきゃと考え、小学生にも関わらず塾やそろばんに行かされたり。
音楽の知識や音感などを鍛えるためにピアノやたくさんの金管楽器、打楽器を習わされたり。
好きな人ができたら守れるようにと、空手や柔道、剣道までやらされたりと中学校までにいろいろやらされ。
いつかグローバル化されると予測した頭の良い母方の祖父が、英語や中国語、韓国語などを話せるようにと教えてくれた。
だがどれも続かず、唯一続けていたのが特に意味ないボイストレーニング。
歌手になりたくもないし、声優になりたいわけでもない。でもなぜかそれだけは続けられていた。
ここまでは中学までの話。高校は母親のおかげなのか、志望高校に合格。
その知らせと共に父親の会社も業績を上げ、テレビでCMに出てくるほどの会社となっていた。
高校時代に出会ったのが伊織と染谷。
伊織の両親が医者で、親の影響によりそのまま医者へ。
初めは血が苦手でなりたくないとか言ってたくせに、他に目指すものもなく遺伝によってか頭も良かったので進路を変えず、医大へ。
そして今は伊織の父親が開設した診療所で医者をしている。
染谷は施設から高校へ通っていた。親からのDVがきっかけで施設に入り、特待生で合格すると学校からの補助金が出るので、それを使っていると聞いた。
高校を出た後は施設を出なきゃいけない決まりがあるらしく、卒業後は就職するんだと言っていた。
ちなみに染谷は1つ学年が下だ。伊織の友人が染谷と仲が良く、染谷とその友人は同じ施設で育ったという。
卒業後、俺は大学へ行き、その後父親の会社を手伝っていた。
だが父親が『会社が人手不足だ、優秀な人はいないのか』と言っていたので他の場所で働いていた染谷を誘い、初めは一緒に働いていた。
でもある日父親から『自分のやりたいことをやってもいい時期なんじゃないか?』という話になり、子会社を設立。
そして染谷を世話人として雇い、時々父親の仕事を手伝いながら自分の会社を運営している。事業内容としては秘密だ。
あ、もう一人忘れていた。高校時代に出会った人。名前は千明。かつての恋人。
千明は染谷と同級生。なのに俺のことを『純佑』と呼び捨てにしていた。本人いわく『仲良くなりたいなら年上でも名前で呼びたい』と。
千明は昔から明るいやつで誰からも愛されるような感じのキャラクター。でもそんな千明を嫌っている奴もいたようだ。
最初は友人と同じような感覚。だけど学校以外でも食事に誘われたり、家に来たりとしてだんだん親友と言ってもいいほど仲良くはなっていった。
今思えば染谷や伊織よりも近くにいて一緒に過ごす時間が増えてたのには違いない。
それもあってか、ある日2人で出かけた際に『純佑のことが好きなんだ』と告白された。
男からの告白。普通なら『え、気持ち悪い』と思ってもいいはずなんだが、そんなことは思わず。
千明が元々可愛い感じの男だったから抵抗なかったのかもしれない。
告白の返事は『いいよ』と言っただけ。驚きながらも嬉しそうに笑う千明が可愛くて、自分からキスした覚えがある。
だけど長くは続かなかった。半年後、突然『好きな人ができた、友達に戻りたい』と聞かされた。
ショックだった。友人から恋人へ気持ちが変わりつつあり、整理でき始めた頃だったから。
初めての恋。こんなに早く終わるものだとは思わなくて。しばらく俺は引きずっていた。
大学に入ってからは父親の会社のこともあってか、女が群がった。
だからといって相手をすることはなく、強引に誘われたときにだけしか関係を持とうとはしなかった。
千明と体の関係をもつことはなかった。その前に別れを告げられてしまったから。
女性と付き合うことはなかったわけではない。『彼女はいないの?』と言ってくる母親を黙らせる方法として1日だけ雇う形でフリをしてもらう。
その過程でデートなどしたことはあるが、どれも楽しいとは思わなかった。
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