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9、熱 -1-
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車で診療所に向かっている間の梓はぼーっとしていた。様子がおかしいから梓の額に手を当てると少しだけ熱く感じる。
たぶん発情だけの症状だけじゃなく、熱も出ているのかもしれない。
「ハァハァ……」
座っているだけでも辛そう。今すぐ寝かせてあげたいが、その体のままじゃ眠れはしないだろう。
「辛いなら持たれかかってもいい。着くまで寝てろ」
「ハァハァ……」
何も答えてはくれなかったが、ゆっくり俺の方に倒れてくる。梓の頭が俺の肩に当たる。
梓の頭が触れている場所が熱い。梓の熱もあるだろう。でもそれだけじゃない。
「……ッ……」
苦しいのは梓の方なのに俺まで苦しくなりそう。フェロモンでもそうだけど、こいつがいること自体嬉しくて苦しい。
触れたいのに触れられない苦しさ。熱に、フェロモンを利用して触れることもできる。
でも……俺は梓の心ごと全てほしい。流されたとかじゃなくて、自分の意思で。
フェロモンや梓の熱に耐えながら診療所に着くのを待った。
診療所に着き梓を伊織に任せる。その間俺は父親に電話をした。忙しいからすぐに電話に出ないだろうと思ったが、すぐに出た
。
「もしもし……」
『純佑、お前結婚の話断ったのか?好きな人がいる、片想いしてるって言ったが、その人のことがあって花恋さんをフッたということか』
「あぁ」
電話越しでため息が聞こえる。
『花恋さんから聞いたぞ。お前が好きな人は同性なんだってな』
あの女……話したのかよ……
「あぁ。だから俺の子どもは諦めてくれ」
『はぁ……通りでここまで来て彼女の話が出てこないわけだ……もしかして純也もそうなのかな……』
「は?」
なぜそこで純也の話が出てくるんだ……
『純也くらいの年頃なら、彼女の話が出てきてもいいのに……連絡したときに『彼女とかいないのか?』とか言ったら『彼女はいないよ』って言うんだ……もしかしたら彼氏はいるんじゃ……父さん悲しい!孫の姿が見れると楽しみにしていたのに……シクシク』
わざとらしい泣き声が聞こえてくる。
大の大人が何をしてるんだって話なんだが……
「…とりあえずそういうことだから。俺は女と結婚しない」
相手に有無を言わさず電話を切る。
するとすぐに着信音が聞こえて。
勝手に切ったのがいけなかったのか、相手はまた父親。
「…何度言ったらわかるんだ。俺は女と結婚しない……」
『では、男でしたら結婚するのですか?』
「えっ?」
でも出たのは……
「花恋さん……どうして……」
『あなたにフられた後、すぐにご報告しにいきまして。その後、お父様にお食事を誘われたので、今一緒にいます』
「そ、そうか……それでご用件は?」
『あなたに伝え忘れたことがありまして』
伝え忘れたこと……?
「それは何だ?」
『もしかしたら市川梓は脅迫されて男と付き合ってる可能性があります』
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