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強引に顔を向かせると、少しだけ涙目だった。
「べ、別に……泣いてないから……」
「強がらなくていいんだぞ」
「強がってなんか……」
「よしよし……」
子どもを慰めるように頭を撫でる。
すると梓が腰に手を回してきた。
「少しだけ……このままで……」
人通りは少ない所の病室の前だからといって、こんな大胆なことされると、俺のムスコが反応してしまう……
それはマズい。千明の病室にも連れていこうと思っているのに……!
鎮まれ、俺のムスコ。暴走するな、俺のムスコ。
梓が落ち着いて、俺のムスコも落ち着いた所で千明に会いにいく。
向こうは覚えてないとしても思い出す可能性があるなら会いにいくべきだと思うから。
「ここは……?」
「千明の病室」
「ちあき……って、純佑さんの……」
「俺の大切な友人。つい最近、目が覚めたんだって」
「え、本当に?」
「あぁ、ただ……」
梓には伝えるべきだろうか。今の千明は昔、俺が知っていた千明とは違うってこと。
でも伝えたら逆に混乱する可能性もある。悩んだ結果、梓には何も説明せずに千明に会うことにした。
「ちあき」
「…じゅんすけ……さん……?」
この前会ったことは覚えているようだ。
「あぁ。純佑だ」
「…そのひとは……?」
千明が梓を指さし、誰かと聞いてくる。
「…あずさ。俺の恋人だ」
「こいびと……?」
「大切な人のことだ」
そう。梓は今の俺にとって一番大切な人。
「たいせつなひと……じゃあ、ちあきもじゅんすけさんのこいびと?」
「ん?」
恋人……?何でそう思うんだ……?
「まえにじゅんすけさん、いった。『千明は俺の大切な人』だって」
確かに言った……でも大切だからって恋人とは限らない。
「大切な人だけど、恋人ではない」
「んん?ちあきわかんない。むずかしい」
「ごめんな。まだ小学生の千明には難しかったな」
千明が眠そうにあくびをする。
「ちあき、なんだかねむくなってきた」
「そうだな。そろそろ昼寝の時間だもんな。また来るな」
「うん、またね。じゅんすけさん」
「あぁ、またな」
病室から出て梓がムッとした顔で話しかけてきた。
「・・・一体どういうことか説明してくれません?」
あぁ……やっぱり、最初に話すべきだったな……
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