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「楠木さん!今日は飲みに行きましょう!僕奢りますから!!」
「……帰れ、二度と来るな」
「え、ちょ、楠木さん!」
バタン
今月で何度めかわからない後輩からの誘い。全くめんどくさいもんだ。
楠木 優(くすのき ゆう)、25歳。人間の細胞を急成長させることで、その人間と全く同じ人間を作る、クローン研究で成功を収めた、若き天才研究者だ。
しかし彼は性格に難があり、基本は自宅兼研究所に引きこもり、昼夜逆転、人との馴れ合いはなるべく避けて過ごしている。
今日もいつ終わるかわからない研究を21時から開始した。
夜中2時過ぎ。インスタントコーヒーがそこを尽きてしまったので近所のコンビニに出向くことにした。
今日の夜は異常に蒸し暑く、パーカーを羽織ってきたのは間違いだったと後悔しながら、インスタントコーヒーを大量に買い家路についた。
ここでひとつ、話をしよう。
私の家(マンション)からコンビニまでの道の間には小さな川があり、そこにはちょっとした田舎によくありそうなコンクリートの橋がかかっている。
さすがにこんな真夜中だと車も通らず、今この橋を渡っているのは、私だけ…………
と、先ほどまでは思っていた。
今はどうなんだって?
今、私の後ろから、なにかを引きずる音が聞こえてくるんだ。
足音はない。
ただずるずるずるずると不気味な音が聞こえていた。
振り返るか?
いや、こんな時間にこんな音、しかも川の上という霊が多くいるとされる水場。
研究者は霊を信じない者が多いと言われている……が、もちろん例外はいるわけで、その例外が僕なわけで!!
え、これ、相当ピンチなのでは……?
歩くのを速めるにも、もし速めた瞬間に襲いかかってきたらと思うと怖いし、でもこのまま家まで連れて帰るのか!?いや、そのまえに……殺られる!?
や、やばい……
時刻は2時15分。草木も眠る丑三つ時に眠らぬ僕に罰が下っているようです。
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