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お久しぶり Ⅱ
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説明しよう。
この男、笹井広海は、幼少期からの俺の幼馴染なのである。
中学まではずっと一緒だった。
···しかし高校は親の都合でどうしても遠い所に行かなくちゃダメとかで、どこに通うかも教えてもらえることはないまま卒業し、寮生活。
もう会えることはないと思っていた。
──それなのに!まさかこんなところで会うことになるなんて。まったくいたずら好きの神様だぜ···!
「いやー!まさかこんなところに来てたなんて!···ってことは広海も外部生か!よかったー話せるやつがいて!」
正直朝から慣れない土地で1人っきりっていう状況にとんでもない孤独を感じていたので広海がいてくれてすごい嬉しい。ほんとに。さすが俺のベストフレンド。愛してる。
「まあ、お前じゃここで数日も持たなそうだしね。ほら、後ろ見てみなよ」
「後ろ?なに···ヒッ!」
後ろを振り向くと、そこには青筋をたてた山田先生がひきつった笑みを浮かべ立っていた。
「感動の再開を果たしてるとこ悪いんだが、俺はお前らと違って忙しいんだよ、ん?わかるか?なあ?」
「さ、サーセン···」
山田先生から逃げるようにそさくさと広海の後ろの席に座る。
ここで気づいたのだが、なぜか前の席のチワワくんが俺のことすこぶる睨んでいる。しかもそいつだけではない。そのほかのチワワ共にも睨まれている。
え?なに?俺何かした?やだ···そんな親の敵みたいな顔で見るのやめて···俺のガラスのハートがブレイクされちゃう···
「起立ー、礼、着席ー」
HRの終わりを告げるチャイムが鳴り、周りの皆がいそいそと次の授業に向け用意を始める。
俺も急いで用意をしようとする。が、その瞬間手元に人影。
何事かと顔を上げるとそこには広海の顔。
こいつ、相変わらず綺麗な顔してんなぁと思った次の瞬間、広海は俺をひょいっと抱き上げた。
「ファッ!?なななんばしよっとか!!??」
「訛ってるよ」
「知ってるわい!ってそこじゃなくて!」
「あのさあ、さっきからうるさいんだけど」
「あ、ごめん。黙るね。····ん?今なにか上手く丸め込まれた気が···」
「気のせいだって」
俺たち二人以外のクラスメイトはなんだなんだと視線をこちらに向ける。
その中には例のチワワ共も·····いや、訂正しよう。チワワじゃねぇ····あれは確実に獲物を横取りされたときの肉食獣の目だ。
しかし広海はそんな周りにお構い無しに俺を抱えたまま教室のドアを乱暴に開ける。
おいおい広海さん···お前のせいでこの教室がサバンナみたいになってるぜ!
「いや待ってどこ連れてくの?」
「どこだと思う?」
「ワイキキにハネムーンかなあ」
「太平洋に流してやろうか?」
「ごめんやん」
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