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気高き青炎 8
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「やめてーっっ‼︎」
僕は、肩を上下させて荒い呼吸を繰り返す。
ぼやける視界の先で、ロウの身体がグラリと揺れて、「ル、カ…さま?」と小さく呟きながら、ゆっくりと地面に倒れた。
汗か涙かわからない雫が、ポタポタと僕の顎を伝って地面に消えていく。
頭と胸の中がグチャグチャで、もう何が何だかわからない。自身の内からの熱と空から降り注ぐ太陽の熱で、僕は蒸発して消えてしまいそうだった。
フラフラと揺れ出した僕の身体が、力強い腕に抱き寄せられる。
「…あ、んた…」
ロウと同じように地面に倒れたリツが、僕の背後を見て掠れた声を出した。
「ルカ、よくやった。上出来だ」
「トウヤ…さ…」
トウヤさんが僕の頭に、いつの間にか落ちていた帽子を被せる。顔の傍で囁かれる静かな声にホッと安堵して、僕は意識を手放した。
熱い。身体の中も外も、実際に燃えてるんじゃないかと思うくらいに熱い。
ふと顔を上げて周りを見ると、何も無い真っ白な場所。俯いて自分の両手を見る。熱いけど、本当に燃えてるわけではない。その手で同じく熱い顔に触れても、少し温度の低いいつもの肌だ。
座っていた僕はゆっくりと立ち上がり、もう一度周りを見て、どうしたものかと途方にくれる。
長い溜め息を吐いて、ついさっきのロウとリツの異常な姿を思い浮かべた。
ロウは、僕にはもちろん従順だったけど、青蓮家の誰に対しても従順だった筈だ。なのに、ルキに対して攻撃するなんて…。ロウは、どうかしてしまったんだろうか。それとも、さっき目にした光景は、僕の悪い夢だったんだろうか。
俯いた僕の目から雫が落ちて、真っ白い地面に消えていく。
もう、辛い現実は見たくない。僕はこのまま、ずっと、ここにいたい。
全身が熱く喉が渇いて水が欲しい。きっと、このままでいたら、僕は身体から水分が抜けて、干からびてしまうだろう。それでもいいや…と、フラリと身体が傾きかけた僕の腕を、誰かが柔らかく掴んだ。
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