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【悲報】俺氏捕獲される(´・ω・`)
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「・・・あの、柏原さん?」
玄関出てすぐ捕まって、柏原さんの部屋にいる。
玄関開けたらサトウのご飯どころの騒ぎじゃないぞ。
軽く拉致。
まあ、お隣さんなんですけどね?
「えっとぉ・・・俺、学校にぃ・・・行きたいかなって・・・」
「悠介くん」
「はい!?」
背筋が伸びる。
だって何か怖いんだもの!
いつもは優しいあの人が、キレたらめっちゃ怖いっていう現象あるじゃないか。
あれです。
大天使・柏原さんがキレたら、それこそ天変地異くらいは起こるんじゃなかろうかと思う。
マジカタストロフ。
「悠介くん、あれから竹垣さんの容態はどう?」
あ、そうか、この人久我さんの名前の話知らないのか。
「えっとぉ・・・えっと・・・どうっていうのは?」
とりあえず引き延ばすよ。
無駄だと分かっていても足掻く(あがく)、それが俺のジャスティス!
「だからさ、まだ家に置いておいて、看病しないといけないような状態なの?って訊いてるんだけど」
「ひっ・・・あの・・・げ、元気にはなりつつあります・・・。ま、俺の看病が優れてるから仕方ないっすけどね!」
「じゃあまだ家にいるんだ」
「・・・はい」
ジャスティス崩壊。
だって、何度も言うけど怖いんだよ。
いつも常に柔和な笑みを浮かべているような人なんだけども、今も浮かべていらっしゃるんだけども、何かこう、禍々しいものが出ている、そんな気がする。
せっかく俺の自己過大評価を見せつけたのに、スルーされたし。いと悲し。
「いつになったら出ていくつもりで看病してるの?」
「え?えっと・・・」
「竹垣さん、そんなにヤバい状態だったの?」
質問攻めに遭う俺氏。
攻めっていうか、責めだよな。
「そ、それがえっと・・・俺の部屋で居候することになりまして・・・」
これ以上隠していても仕方がない。
とりあえず説明という名の言い訳だけでもさせてほしい。
だって仕方ないじゃん、お風呂入れないんだから!
可哀想じゃん!
「・・・は?」
ッ出た!
柏原さんの「は?」
俺の精神をガリガリ削る、魔法のワンワード!
「あ、あの!ち、違うんです!柏原さんも見てると思うんですけど、あの人、身体に刺青があったりして銭湯みたいなとこに入れないじゃないですか!で、住む場所も探した結果、お風呂のないような物件しかないっていうから!!!・・・あと、竹垣さんじゃなくて、本当は久我さんって言います」
頑張って言い切ってみたよ。
というか勢いに任せないと言えない!
こんな禍々しいオーラ放ってる人に向かって言えないよ!
ある意味久我さんより極道っぽいよ!?
「だからって、自分の一人暮らしの部屋に・・・?」
「それはだって・・・げ、現に柏原さんだって俺を部屋に入れてるじゃないですか!」
言いながら、うん、それとこれとは違うな、って思った。
「それとこれとは違うでしょ?」
「ですよねー!」
同意見てへぺろ。
「関わるなって、言ったよね?」
「ひゃい・・・」
【速報】カタストロフィー・カシハラー降臨。
凄みがすごい。
威圧感パない。
「だって・・・だってぇ・・・ほっとけなかったんですもん・・・!!」
そこで柏原さんは溜め息を吐いた。
「・・・うん、そうだね。悠介くんはそういう人だったね・・・」
そういうと、柏原さんは元の聖人の如き微笑みをみせる。
聖人男性ここに。
「だからこそ、俺は悠介くんが好きだしね」
そういいながら正座した俺を引き寄せる柏原さん。
あ、良い匂いする。
「・・・だからこそ、あの人には捕られたくないんだよね」
・・・柏原さんの腕の中なう。
捕獲された。
「あ、の・・・柏原さん?」
「もうどーせ学校には遅刻になっちゃったんでしょ?じゃあ、俺と一緒に居てよ」
アンタのせいで遅刻になったんだけどな。
でも今の柏原さんに逆らう勇気は俺にはない。
というか、この柏原さんに立ち向かえる人は果たしているのだろうか。
「で、でも・・・」
「もう、往生際が悪いな。・・・『怒るよ?』」
その言葉は俺を震え上がらせるには十分だった。
逆らったらダメな気がする。
「い、嫌です・・・」
「そ。素直でよろしい♪」
楽しそうだな。
俺は楽しくないです。
「それで・・・久我さんのことは許して頂けるんでしょうか・・・?」
え、待って。
自分の発言だけども、おかしいだろコレ。
何この隣人にお伺いを立てなければいけない制度。
「・・・許さない」
「嘘でしょ」
許してくれそうな雰囲気やったやん。
「ちょっと悠介くんのこと見損なったかな」
「そ、そんな・・・!」
そんな俺が好きとかさっき言ってませんでした?!
いや、つーか!
「や、嫌です・・・。俺、柏原さんがいないと・・・」
泣きそうである。
誰だよ男前系主人公って。
「柏原さんに見放されたら俺・・・ッ・・・うぅ・・・」
涙目である。
涙がちょちょ漏れそうである。
というか泣く。
マジで一人暮らしの心細さを柏原さんに救ってもらってるから。
だから、そんな柏原さんに嫌われでもしたら、俺は・・・。
目にいっぱい涙を溜めて柏原さんを見上げる。
下手に顔を動かすと涙がこぼれそうになるから、不本意ながら、俗にいう上目遣いだ。
柏原さんに腕の中にホールドされていることもお忘れなく。
「うーん、そうだな・・・じゃあ、俺のこと、『柏原さん』じゃなくて、下の名前で呼んで?」
「え・・・?」
下の、名前とな?
俺、人のこと名字で呼ぶ派だからちょっとこそばゆいんですけど。
でも背に腹は代えられない。
それで聖人男性、大天使・柏原さんが帰ってくるのなら・・・!
「えっと・・・名前、なんていうんですか?」
「ん?柏原恭平(きょうへい)」
「きょーへー、さん?」
名前を口にすると、柏原さんは嬉しそうに笑った。
「いいね。ゆーすけくんに呼んでもらうと堪らないな、これ」
そういうと、柏原さんは俺を強く抱きしめて言う。
「嫌いになるわけないじゃない。見放したり、見損なったり、するわけないじゃない」
「だ、だって、かしは・・・きょーへーさんがそうやって!!!」
「そういう誰にでも甘いところは、嫌いだし好きなんだよ」
「なにそれ!?」
ん~?
柏原さんが俺の顔を両手で包むように挟んで上げさせる。
強制的に視線を合わせられる。
近くで見てもイケメンだなこの人。
嫌味か?当てつけなのか?
「俺以外に対する優しさとかは、みんな憎いっていう話だよ」
そういうと柏原さんは俺のおでこに唇を落とした。
・・・あれ?俺火事場の馬鹿力起こしたっけ?
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