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かざみ、あかつきさん。
おれに名刺を渡してくれた風見さんの会社は、すぐ近くにあるようだ。もっと仲良くなりたくて、もっとお話しをしたくて、でも、今日のご飯が終わったら、もう会う機会がないだろうと思うと、胃がぎゅっと重くなった。
また、会いたい。もっと、繋がっていたい。
そう思いながらも、きっと迷惑だと気持ちを打ち消して俯いた。
「・・・ごめんなさい、こんな話。つまらない話でした。」
なんだか涙がでてきそうで、瞬きを繰り返す。ぎゅっとこぶしを握って耐えていたら、ふわっと頬を包まれた。
驚いて目を見開く。
「つまらなくなんて、ありませんよ。話してくれて、ありがとう。」
微笑まれながら、頬を撫でられると羞恥にカッと頬が熱くなった。
「・・・あ。あり、がとうございます。」
どうしよう。優しすぎて、泣きそう。
奥歯をぎゅっと噛みしめて、感情を流そうとする。なんとか堪えたところで、風見さんがふわっと笑ってくれた。
「良かったら、また、食事にお誘いしても良いでしょうか。杉さんの話をもっと聞きたい。」
ああ、敵(かな)わない。風見さんは、魔法使いなのかもしれない。
嬉しくて、嬉しくて、おれは笑顔で「はい」と頷いた。
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