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「風見さん、こっち。」
駅から徒歩20分。決して近いとは言えないけれど、途中にコンビニと小さめのドラッグストア、児童公園に、こじんまりとした居酒屋が数軒あった。
賑やか過ぎず、寂しすぎず、住むにはちょうど良いところのようだ。アパートは2階建ての1階奥。
日当たりは気になるが、家賃の関係で仕方なかったそうだ。
「風見さん、お茶でもどうぞ。」
誘ってくれるのは嬉しいけれど、ここで入ってしまうと帰りたくなくなりそうで、遠慮することにした。
「小夜、また、近いうちに遊ぼう。今日はもう遅いから、失礼するよ。ゆっくりおやすみ。」
扉の前で、頭を撫でる。すぐに俯く小夜の顔を覗き込んで、連絡するね、と約束した。
俺が見えなくなるまで見送りそうだったので、強制的に部屋に入れる。
寂しそうな様子にギュッと胸が苦しくなると同時に、小夜と出会えた偶然が嬉しくて、柄にもなく神様に感謝した。
さて。都会的な遊びを期待させてしまった責任として、どこに連れて行こう。
携帯を取り出し、マップを開く。現在地をクリップしてから、自宅までの距離を出した。
うん、車ならすぐだ。
途中下車した駅まで、あれこれと計画を練りながら歩く。
楽しい。小夜に会えて、良かった。
出会えた奇跡に感謝しながら、俺は帰途についた。
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