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テレビでよく放送されてるところに自分が行くなんて、信じられなくて興奮した。風見さんが案内してくれたのは場外市場で、場内はこの時間は観光客でいっぱいで中のお店でご飯にありつくためには何時間も並ばないといけなくなるらしい。
おれのお腹も風見さんのお腹も、そんな待てないよね?ってことで、場外市場を冷やかして回ることにした。
それでも、観光客がいっぱいいた。多国籍な空間に、おれひとりなら尻込みしてそうだけど、今日は風見さんと一緒だから、安心して回れそうだ。
でも、人が多い・・・。押し合いへし合いとまではいかないけれど、一瞬でも目を離すと、背の高い風見さんさえ見失いそうで、必死について行く。
「あ!待って・・・!」
ベビーカーにおれと風見さんの間を通られ、必然的に距離が空いて焦った。
ヤダヤダヤダ、こんなところで見失いたくない!
声を張り上げると、慌てて風見さんが戻ってきてくれた。
「ごめんね、はぐれないように手を繋ごう。」
そういうと、返事を待たずに風見さんがおれの手を取る。大人になって誰かと手を繋ぐなんて初めてで、カッと頬が熱くなった。
「か、かざみさん・・・。」
しかも、恋人繋ぎとか。恥ずかしくて、なんだか目が潤む。見上げると、風見さんが「ちょっとだけ我慢してね?」と言って頭を慰めるように撫でてきた。
うん、ちょっとだけ。ちょっとだけね。
ドキドキする胸にギュッと反対の手を置いて落ち着かせる。
お店、までだから。
グイグイと人混みを掻き分けながら進む風見さんの背中を見ながら、お店までしか繋げない事を残念に思う気持ちは何だろうと首を傾げた。
今日、おれ、心臓もつかな?
ドキドキする。そして緊張から何度も唾を飲み込んだ。
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