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・・・やられた。
風見さんに揶揄われた。おれ、オトナになる覚悟決めたのに、この気持ちをどう処理したらいいのか分からない。
つれてこられた可愛いお嬢様は、おふたり。ツンツンの服を着て、小さな手を動かしながら、ケースの中を歩いている。
揶揄(からか)われて、悲しいやら悔しいやら恥ずかしいやらで、感情の持って行き場がなくなっていたおれだけど、このご接待してくれている小さなお嬢様たちを見ていたら、なんだか癒されてきて、ふふっと笑ってしまった。
「抱っこしてみる?」
そう言って、風見さんがハリネズミを掬い取った。
「針があるからね、水を掬う時みたいに、両側から、優しく掬って持ち上げるんだよ。」
風見さんの手から、おれの手に渡された。ちっちゃくて、あったかくて、手の中でゴソゴソ動いて・・・。
可愛い。
驚かせないようにそっと撫でてあげると、ピタッと動きが止まった。
「え?・・・びっくりしたのかな?」
思わず小声で風見さんに聞いてみる。
「・・・多分、居心地良くて、寝たんだと思う。」
「可愛い・・・どうしよう。」
「写真、撮ってあげるよ。小夜、こっち見て。」
起こさないように気をつけながら、ハリネズミの乗った両手を顔の横に動かす。
「・・・ん、いい笑顔。」
写真を撮ってもらっていたら、店員さんが声を掛けてくれた。
ふたり一緒の写真を撮るために、動けないおれの横に、風見さんが移動する。
ふたりで顔を寄せて、間にハリネズミが見えるように、そっと動かす。
何枚か撮ってもらって、風見さんが写真を確認した。
店員さんとやり取りしてくれてる間も、おれはハリネズミを抱っこしていた。
癒される・・・。
あとから聞いたけど、ハリネズミのオヤツは生きた虫なんだそうで。
もし、手の中のお嬢様があのまま寝なければ、オヤツを購入して、ピンセットで一匹ずつ摘んで食べさせるつもりだったのだそうだ。
ううーん、どんな虫なのか携帯で見せてもらったけど、寝ててくれて良かったかもと思ったのは、風見さんには内緒の話だ。
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