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東京タワーを見ながら、ふたりで乾杯した。
恋が実ってからの初めての乾杯は、炭酸水。喉を通るその刺激でさえ、なんだか甘く感じてしまうのは何故だろう。目線が合うと何だか気恥ずかしくて、堪らない気持ちになる。
注文したサラダとパスタを頂きながら、好きと言ってくれた風見さんを見つめた。
キャンドルの灯りに照らされて、時折深く影のできる、精悍な顔。・・・パスタを食べる口元を見ると、さっきのキスを思い出した。
おれ、風見さんとキス、しちゃった・・・。
キスの感触が蘇った。
どうしよう、好きって・・・言ってくれた。
熱く感じる唇を抑えて、俯いた。
「さーや?どうした?」
テーブル越しに風見さんがおれの頬を撫でた。恥ずかしくなって、俯いたまま、頭を振る。
「・・・幸せすぎて、色々思い出しちゃった。」
「可愛いね、小夜。でも、良い子だから、ご飯食べてしまおう?」
「うん。」
ふたりの間に流れる甘い空気に、酔ってしまいそうだ。
「風見さん・・・。」
「ん?」
「好き、です。」
「うん、俺も。」
優しく笑って、頭を撫でてくれる。
この日食べたパスタは、幸せすぎて味の記憶が一切残ってないけれど、忘れられない思い出。
これが、ふたりの恋人としての始まりの瞬間だった。
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