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今日、お出かけする時は友だちとして助手席に座った。帰りは、恋人として助手席に座っている。
おれ、風見さんと付き合うことになったんだ・・・。
運転している横顔をそっと見つめた。対向車のライトに照らされるその顔は、素敵だ。行動がスマートで、物知りで、・・・筋肉、すごくて。ユニークで、ちょっとイジワルで、大人で、優しい人。
おれには勿体無い、素敵な人。
・・・どうしよう、おれ、恋人になった。
不思議なことに、男性同士であることに後悔は無かった。好きという素直な気持ちに従って良かったと思う。
・・・好き。
産まれて初めてキスをした。その風見さんの唇をみたら落ち着かなくなった。手のひらにかいた汗を腿に擦り付けていたら、風見さんが信号待ちでこっちを見た。
「小夜、緊張してる?」
「・・・うん。ドキドキしてる。」
「そっか。」
そういうと、風見さんは手を伸ばしておれの肩を引き寄せた。
チュッ・・・音を立てて、頭にキスをする。
「あ・・・っ」
「好きだよ、小夜。」
「お、おれも・・・好き。」
心臓が痛いくらいドキドキする。
「・・・もうすぐ、アパート着くよ。」
そう言われて周りをみると、本当にあと少しでデートが終了することがわかった。
終わりにしたくない。
気がつくと「風見さん、うちに寄って行って。」と、お願いしていた。
「・・・いいの?疲れてない?」
「うん。・・・離れるのが、寂しいから。」
「小夜、可愛いね。ありがとう、寄らせてもらうね。」
アパートの近くの駐車場に止めて、肩を並べて部屋に向かう。鍵を取り出して中に入ると、夏特有の熱い空気が立ち込めていた。窓を開けに奥の部屋まで行って振り返ると、風見さんはまだ玄関に立っていた。
玄関に戻って、風見さんの手を取る。
「狭いけど・・・、入って。」
引っ張るようにすると、逆に引き寄せられた。
框(かまち)の分だけ身長が高くなっているから、さっきより高い位置で肩口に顎が乗った。優しく後頭部を撫でられて、なんだか感極まって泣きそうになった。
そっと両肩を掴まれて体を離される。するりとその大きな手は、おれの頬を包み、上向きにされた。
近付いてくる、風見さんの顔・・・。
しっとりと重ねられた唇が熱い。角度を変えて、何度も口付ける。
「小夜・・・。」
口付けの合間に名前を呼ばれる。
「・・・ん・・・なに?・・・」
ちゅ、ちゅ・・ちゅ・・・リップ音が静かな部屋に響く。
「ん・・・好きになってくれて・・・ありがとう。」
優しいその声が、じんわりとおれの心を幸福感で縛っていく。静かに首を振ると、キスはこめかみ、頬、瞼と動いていった。
「大事にする・・・。小夜のこと・・・大事にするからね。」
「ありがと・・・、あっ・・・やだ・・・ん。」
うなじにキスされて、思わず甘い声がでた。
これ以上は危険な事が、おれでもわかった。
風見さんの胸を叩くと、すぐにやめてくれたが甘い疼きの影響で、目が潤む。ちょっとだけ睨みつけると、風見さんの手を引いた。
「コーヒー淹れるから、座って?」
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