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俺は、猛烈に反省していた。
電話が終わっても、小夜が戻ってこない。
きっと怖がって俺と顔を合わせたくないんじゃないだろうか。
時間を置いて冷静になった途端、後悔した。ガシガシと頭を掻き毟った。ただのトイレの扉が、そびえたった天の岩戸のように感じられて泣きそうになる。
あんなに大事にするって決めてたのに、襲うなんて!
高校生かよ、マジで!!大人の余裕なんてないじゃん!
激弱な精神力に情けなくなった。うろうろと部屋の中を歩き回りながら、どうやって許してもらおうかと悩む。
『もう帰る!風見さんなんて大っ嫌い!』
そんなことを言われたら、もう死ねる。立ち直れずに俺は干からびて死ぬんだ。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
一度失った信頼は、何の場面でも元に戻すことは難しい。信頼を失わないように努力する生き物のはずの人間は、いま、心から大切だと思う出来たて恋人から怖がられてトイレに駆け込まれ、俺は頭を掻き毟っていた。
・・・電話を切ってから10分。切った後に1分、また1分と時間が過ぎていく毎に俺は青ざめ、落ち着きをなくした。
キッチンから小夜が消えていった扉を見つめる。
ごくり。
唾液を飲み込み、扉へ向かう。キッチンと玄関を隔てる扉、まず1つ目の障壁。小夜が逃げ込んだ天の岩戸、超難関。
ごめん、小夜。怖がらせて、ごめんね。
大っ嫌いと言われるかもと思うと手が震える。
1つ目、クリア。2つ目・・・。
ごくり。
ノックをしようと手を伸ばした。
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