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「うわぁ!!」
扉を開けると目の前に風見さんが居て、急には止まれずに小夜は彼の胸に飛び込んだ。
「か、風見さんっっびっくりした!!」
眉を困ったように下げて、曖昧に微笑む風見さんの様子にハッと気付く。
「ごめんなさい!!おれ、トイレ占領してたから!!」
バッと体を離してトイレを譲ろうとすると、逆にギュッと抱きしめられた。
「・・・よかった、怖がらせて嫌われたかと思った。」
「え?」
「ごめんね、小夜。」
いつもとは違う気弱な声に、トイレに閉じ籠り、不安がらせた事を反省する。
「・・・ううん、風見さん、すき。」
申し訳なくて背中に手を回し、優しくあやした。
「怖くなんてないよ・・・びっくりして、どうしたらいいか分かんなくなるだけ。」
おれね・・・けいけん、ないから。
小さな声で告白した。
「・・・そっか。」
もう一度、ギュッと抱きしめられた。
ちょっと苦しいけど、幸せで。
顔を見たくて体を離す。その自信のない顔を見たら、愛しくて堪らなくなった。
小夜は風見の首に手を回し、背伸びをしてキスをした。
「すき。」
風見さんも、そっと唇を合わせるだけの穏やかなキスを返してくれた。
「俺も。」
おでこ同士をくっつけて、ふふ、と笑いあう。
「あっちでデザート、食べよっか。」
「うん。」
ふたりで食べたデザートは甘い甘い、幸せの味だった。
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