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「小夜ちゃん、ご機嫌ねー。」
事務のおばさんに指摘されて、にこりと微笑む。
「はい、良いことがありました。」
「あらー、良いわねぇ。何があったの?」
「ふふ、内緒です。」
それで察してくれたのか、おばさんも「おばちゃんにも王子様がこないかしら?」と笑って流してくれた。
ふふ、風見さんと恋人になった。しかも、結果的におれのうちにお泊りして、一緒に朝ご飯を食べてきた。
こんなに幸せで良いんだろうかと思いながら、キーボードを叩く。
風見さんは、おれのことを大事にしてくれて、すぐに甘やかしてくれる。おれはそれに甘えて幸せをたくさん吸い込んで、いつか風船みたいにフワリと浮き上がって飛んで行ってしまうかもしれない。
今日も仕事が終わったら、来てくれるって言った。嬉しくて晩ご飯のために、朝からお肉を漬け込んできた。
・・・幸せ。
「あ!いけない。小夜ちゃん、印紙を買ってきてくれないかしら。ちょうど5000円の印紙を切らしてるわ。」
「はい!すぐにいけますよ。」
「ありがと。お金準備するわね。」
外に出ると物凄い暑さだったけれど、こうやってお遣いにいくのは嫌いじゃない。空は綺麗だし、行きかう人を見るのは好きだ。
郵便局まで歩いていると、携帯が震えた。風見さんからで、慌ててタップした。
「もしもし?」
『小夜、後ろ見てごらん?』
振り返ると、後ろで笑っている風見さんが居た。
「風見さんだ・・・。」
『はい、風見さんですよ。』
悪戯っぽくお返事してくれる風見さんが愛しい。
「逢えて嬉しい。」
お互いに近付きながら、ふふふと笑う。
『「逢えると思ってなかったから、やっぱり運命なのかなって思うよね」』
電話の声と実際の声が重なる。お互い携帯を降ろして、微笑みあった。
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