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暖かくて、気持ちいい・・・。
ふわふわと浮いているみだいだ。
ちゃぽんという水音を拾って、水音って良いなぁと、うっすらと思う。
優しく体を撫でられて、猫になった気分。
風見さんの猫になれるなら、それでいいや・・・。
ん?
違和感を覚えて、目を開けた。
「え?!ええ?!お風呂?!」
目を開けると、お風呂場に居たという経験はお持ちでしょうか?いや、ない!!!
慌てて湯船から立ち上がろうとすると、すっと押さえられた。
「ふふ、起きた?」
「風見さん、これ、いったい?!」
振り返り風見さんを見る。悪戯が成功した、とでも言うようなニヤッとした顔で抱え直された。
「ぐっすり寝ていたから、抱(かか)えて風呂に入ってたんだよ。」
「ええっ?!」
「完全に体を預けて可愛かった・・・んー、小夜、チューは?」
聞けばドロドロになった体を綺麗にしてくれたということで、ご褒美のチューを強請(ねだ)られた。ほっぺたを挟んで、ちゅっとする。
「びっくりした、おれ。」
「ハハッ、だろうね。」
でね、小夜。
風見さんが眉を寄せて続けた。
「でね、小夜。ひとつ確認していい?」
脇の下に手を入れられて抱えあげられる。湯船にふたりで腰掛けて、見つめられた。
「な、なに?」
「・・・ここのお家、洗濯機ないの?」
「あ・・・。うん、ない。」
心配そうに顔を覗き込まれた。
「もしかして、買えなかったりする?」
「え?あ、違う!違くて。家の中に洗濯機置き場が無くて。外に排水を垂れ流すのがイヤで置いてないだけで、買えないわけじゃないんだけど、ワザと買ってないの。」
慌てて早口で釈明した。
貧乏で買えないのかもって思われたんだよね?!おれ、事務所の手伝いっていっても、生活できるくらいにはお給料もらっているから!
手を握られて、心配そうに見つめられた。
ヤダ!信じてもらえてない?!
「じゃあ、洗濯物はどうしてるの?手で洗っているの?」
強く握られた手は、嘘を言わないでほしいと訴えていた。ぶんぶんと首を振る。
「まさか!コインランドリーに行ってるから、大丈夫だよ。」
じっと見られている。嘘発見器にかけられている気分だった。
「・・・そっか。・・・そろそろ風呂、出よっか?」
納得した?理解してくれた?
嘘じゃないよ!嘘じゃないからね!
必死になって言うと絶対嘘だと思われるパターンだと思って、言いたい事をグッと我慢する。
ドキドキしながら風呂を上がった。
そういえば。
風呂から上がっても風見さんの服は、昼間お仕事で着ていたスーツしかない。
必死になにか着られる服がないか考えたが、バスタオルを巻いてもらうしか思いつかなかった。
「そりゃそうだよ、小夜。どれだけ体のサイズ違うと思うの?」
風見さんは笑って許してくれた。
お風呂から上がって冷たいお茶を飲む。一息ついたら家に帰ると言われた。
時計を見ると、深夜。
本音を言うとこのまま今日も泊まりたいけれど、朝から着替えるために戻るのが面倒だから帰るという。
寂しいけど仕方がない。
ここには下着すら無いし、駅まで20分も歩かないといけないんだから。
「でね、小夜。提案があるんだけど。」
提案?
「良かったら、うちで暮らさない?」
びっくりして、お茶の入ったコップを落としそうになった。
「え?」
「同棲ってやつ。俺は毎日小夜と一緒にいたいし、小夜の待つ家に帰りたい。本当は今日だって小夜を抱きしめて寝たいけど、そう出来ないのが悲しいんだ。一緒に暮らして欲しい。」
「・・・おれも一緒に居たいって思う。けど、風見さんにとって、おれ、重くない?大丈夫?」
「重くなんてないよ。むしろ、こんな提案をしている俺の方が重度の小夜依存症。」
コップを取り上げられて、抱きしめられた。
「ね?一緒に暮らそう?」
どうしよう、と思った。
申し出はとても嬉しいし、心がポッと暖かくなる。
ずっと一緒にいれると思うと、幸せな気持ちでいっぱいになった。
「・・・ほんとに、いいの?」
「うん、来て欲しい。」
「うん。よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」
そう言ってキスを交わした。
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