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お互いのセンシティブな情報を交換したあと、話は学生時代の話になった。
風見さんは高校球児だったらしい。運動自体好きだが、大人になってからは筋肉を鍛えるくらいしかやってないから、俊敏な動きは多分無理だと笑っていた。
バスケとか好きだったんだけどね。
小夜は?と聞かれ、若干俯く。
「帰宅部。」
「ハハッ!ぽい。運動は苦手?」
「うーん、苦手かも。短距離とかすぐ終わる競技は好きだったけど、マラソンとかボール使った運動とか、持久力が試されるようなのは全然ダメ。」
なんだか、想像がついて風見は微笑んだ。
「あー・・・筋肉痛って言っていたよね。」
「うん、そうそう、あの日、ロボットになってた。」
「ブハッ!見たかったなー、小夜ロボット。」
きっと、ギクシャク動いて可愛かったに違いない。
「ほんと、ずっと運動から逃げてた結果だよ。ちゃんと鍛えなきゃって思ったもん。」
反省したように首を傾げる様子にニヤリと笑って言った。
「・・・これからは体力つくから大丈夫。」
「エロいッ!!」
ふたりで声を出して笑う。毎日こんなに笑いあえたら良いなぁ、と思った。
「そろそろ服、出来たかな。見てくるよ。」
そういって風見さんが洗濯の様子を見に行ってくれた。
さっき書いてもらったメモを見る。
風見さんの、字。角ばっていて、見ただけで男の人って分かる字体。
毎回いろんな風見さんを知っていく。こうやって知らない事がないようになりたい。
おれのことも、全部知ってほしいと思う。
指でゆっくりとなぞっていると、風見さんの携帯が鳴った。見るとディスプレイには「麗」と表示されていた。
電話だ!
慌てて風見さんのところに持っていき携帯を渡すと、ディスプレイを見た風見さんの表情が曇った。
え、なに?
「ごめん、ありがとう。」
携帯を受け取り、おれに向かって硬い笑顔でお礼を言われたのでベッドに戻ったが、一気に気分が落ち込んだ。
麗さんて誰だろう。女の、人だよね。
風見さんは洗濯機のところで、話をしている。
聞きたくないような聞きたいような、もやもやする感覚だ。
・・・どうしよう、気になる。
「うらら、ごめんって・・・忘れ・・・次・・・。」
麗って書いて、うららって読むんだ。
・・・何を謝っているんだろう。なんだか悲しくなって、居たたまれなくなってきた。
呼び捨てにするくらい、仲が良い人・・・。女の、人。
「・・・ったよ。・・・で、・・・行くよ・・・」
胃のあたりがキュッと痛んで、風見さんに確認したい気持ちとしたくない気持ちが綯い交ぜになる。
怖くて怖くて堪らなかった。
おれ、男だし・・・。ダメだ、泣きそう。
ベッドの端で膝を抱えて小さくなる。この姿勢でいるとなんとなく衝撃に耐えれそうな気がするのだ。
風見さん、うららさんて、誰?
嫉妬で泣きたくなった。
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