アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
119 2018年9月1日 風見家
-
9月1日土曜日、仏滅。
9月2日日曜日、大安。
これ、偶然なんだろうけれど実家に帰る日が仏滅で、小夜が引っ越してくる日が大安って、なんだか運命的なものを感じるのは何故なんだろう。
「山田酒店」からもらった実家のゴツメの壁掛けカレンダーを見た瞬間、笑ってしまった。
「お兄ちゃん、キモイ!」
と麗(うらら)から言われながら、神棚から榊(さかき)を取る。
「何思い出し笑いしてるの?・・・はい。」
榊を受け取った麗は、首を傾げながらも手伝ってくれている。
「はい、次。」
神具を次々とおろし、棚板には何もなくなった事を確認して、風見は雑巾を受け取った。
本日、呼び出しを受けた理由は、神棚の掃除をしたいから。である。
さっさと掃除を済ませて姪を抱っこしたい。
父さんと母さんは一泊二日のバス旅行に行ったらしく、今日は麗と可愛い可愛い姪と俺の3人だ。
「こんなの父さんにして貰えばいいのに。」
「だめよ、父さんチビだもん。」
「お前なぁー。」
「事実、事実ー。」
それにね、毎週帰ってきてたのに帰ってこなくなった理由も知りたかったしー、と笑いながら言う。
「だいたい、約束すっぽかすって何よー。」
「忘れてた。」
「もー、お兄ちゃんが来てから焼肉食べに行こうねって話してたのに、全然来ないし!ね、誰か良い人出来たんでしょ?」
「そ。デートすることに必死で、すっかり飛んでたよ。」
「お兄ちゃんがそんな風になるって、珍しくない?」
「本気だからね。」
汚れた雑巾を手に振り返ると、ニヤニヤしている麗の顔がすぐ近くにあった。
「うっわ、びっくりするだろ!」
「どんな顔して『本気だからね』なんて言ってるのかと思って!ウシシ。」
いつも明るい麗は、兄としてはとても可愛い。
その麗の赤ちゃんについては、もっともっと可愛い。
下ろした神具をまた棚に戻し、
「掃除終わったから、もう雪を抱っこしても良いよな?!」
雑巾を麗に渡すと、手を石鹸で洗いにいく。まだ半年しか経っていない姪っ子は、目の中に入れても痛くないほど可愛くて仕方がない。
「ゆーきー、おじさんだよー。」
そっと抱っこする。
赤ちゃんの良い匂いに癒される・・・。
「でー?もしかして、雪のいとこを作ってくれる感じ?」
雑巾を干して戻ってきた麗が、笑顔で聞いてきた。
「・・・んー、それは無いなぁ。」
「え?脈無い感じなの?」
「いやー、明日から一緒に住むし。今もウチで家具が到着するの待ってくれてる。」
「えー!本気じゃん!!いとこが無理って、相当年上なわけ?」
麗には、最初から話しておこうと思って帰って来た。
「実はな、男なんだ。」
「?・・・何が?」
「カノジョ。」
一瞬の静けさ。
「えええええーーー?!?!」
叫び渡る麗の声。雪がびっくりして泣き出した。ぐっすり寝ていた猫も走り出した。
「よしよし、お前の母ちゃんうるさいよなぁ。可哀想に。」
「可哀想もへったくれもないわよ!」
どういうことなのか説明して、と人差し指を突きつけられた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
119 / 1523