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136 2018年9月3日
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目覚ましが鳴る。
目を閉じたまま手探りで目覚ましを掴み、アラームを止めた。おれの横には、大好きな風見さんが寝息を立てていた。思わずすりすりと頬を寄せると、ほんの少し伸びた彼の髭(ひげ)がチクチクとおれの頬を刺した。
ちゅ。
そんなことまで、愛おしく思う自分は、何なんだろう。
不思議に思いながら頬にキスをすると、風見さんを起こさないように静かにベッドを出た。
顔を洗って口をゆすいだら朝ご飯の準備に取り掛かる。
今朝は、お味噌汁と卵焼き。辛子明太子とひじき煮。それに冷凍のブロッコリーをレンジで解凍して、マヨネーズをかけた。綺麗に盛り付けたら、風見さんを起こす時間になった。
「風見さん、時間だよ。起きて?」
体を揺するが、起きない。
「風見さん?起きて?」
「・・・ちゅーしてくれたら、起きるかも。」
目を閉じたまま、寝たフリを続ける風見さんから、ちゅーのおねだりをされた。
ふふ。
「じゃあ、ちゅーっ」
風見さんの唇にキスをしたら、頭を抱えられてベッドに引きずり込まれた。
「わっ!!」
ぎゅっと抱き込まれる。寝起きの風見さんの温かい体温が、気持ちいい。
「・・・もー、遅刻しちゃうよ?」
「小夜を充電しないと動けないから仕方ないの。」
甘い声で囁かれて、幸せだった。
ふたりで笑いあって体を起こした。
「充電完了?」
「完了。」
手を引っ張りあって立ち上がる。顔を洗ってもらう間にご飯をよそった。
おれの鞄には、風見さんからもらったお揃いのキーケースが入っている。同棲記念にお揃いのものを用意したかったんだと言われて渡された、本革の大人っぽいキーケースだ。
そして、テーブルの上には風見さんのキーケース。そこには、おれのあげた組紐のストラップも付いている。
ふたりだけが分かる、ふたりだけのお揃い。
おれは、テーブルに置いてあるキーケースを見て、笑顔が止まらなかった。
ふたりで同じものを食べて、出掛ける準備をした。今日からは一緒に出発して、同じ電車に乗るのだ。
一緒にいれる幸せを噛み締めながら、また1週間が始まった。
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