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165 浮気
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「あの!」
小夜はいつもの駅で降りて、マンションに戻ろうと歩きだした時に、後ろから声をかけられた。
振り向くと制服姿の女子高生が立っている。
違う人を呼び止めたのかもと思って周りを見てみたが、皆忙しそうに歩いて行って、該当しないようだ。
「おれですか?」
女子高生に呼び止められた意味が分からず、首を傾げた。
女の子は真っ赤になりながら、勢いよく頷いた。
「?・・・どうされました?」
「あ、あのっ、ここじゃ話せないので、ちょっと付き合って下さい!」
・・・新手のカツアゲだったらどうしよう。
それとも、チャック開いてた?!
鞄で前を隠して確認すると、ちゃんとチャックは閉じられていた。
・・・良かった。
でも、どうしておれに?
万が一のために、携帯をぐっと握りしめて女の子についていく。
連れてこられたのは駅から徒歩10分の児童公園で、遠くで親子連れが滑り台を使って遊んでいた。
へえ、こんなところに公園があったんだ。
住宅地が広がっており、不思議な感じだった。商店街とマンションが多い自分の地区と違って、静かな雰囲気だった。
と、前を歩いていた女の子は、くるりと振り返りおれを見た。
「あ、あのッ・・・。」
あのから先が出てこない様子の女の子に首を傾げた。とりあえず、変だなとは思いつつ、なんとなくほっとけない感じがして、とりあえずベンチに座らせた。自販機でお茶を買って、隣に座った。
「どうしたの?何かあったんですか?」
お茶を渡して、微笑んだ。気分はもう、相談を受ける教師だ。
「あの、お名前教えて下さいッ」
ぽかんとした。
そんなことを聞かれるとは思っていなかった。
「・・・杉、小夜です。」
「じ!字はどう書くんですか?!」
ぽりぽりと額を掻いた。
「杉は木のスギで、小夜は小さい夜だけど・・・。」
「ああああ、ありがとうございましたっ!」
すごい勢いでお辞儀をして、女の子は走り去っていった。
全くもって、意味がわからない。
とりあえず、帰ってご飯作ろうと立ち上がろうとした瞬間、そこに風見さんが立っていた。
「・・・なに浮気してんの?」
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