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179 小さな出会い
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家の扉を開けようとした時に、「パパッ」と足に抱きつかれ、倒れそうになった経験はありますか?
おれはびっくりして鞄を落とした。
「・・・えっと?」
前髪をひとつに結んだ4歳程度の女の子が、おれの足を掴んだ状態で見上げていた。
手を優しく離させて、目線が合うようにしゃがみ込む。
「えっと、どこの子かな?」
「・・・パパじゃない。」
そう言って泣きそうになっている。
「美湖(みこ)、駄目でしょ!」
母親と思しき女性がエレベーターから降りてきた。
「すみませんでした。うちの子がご迷惑をお掛けしませんでしたか?」
「いえ、何も!・・・みこちゃんて言うの?こんにちは。」
母親の足元に隠れた女の子は、小さな声で挨拶を返してくれた。
「パパ、いつ帰ってくるの?」
「いいから。お家に入るわよ。」
促されて隣の部屋に入っていく。
「申し訳ありませんでした。郵便物を確認している間に先にエレベーターに乗ってしまったみたいで。」
「いえ、何もありませんでしたから。」
お互いお辞儀をして、それぞれの部屋に入った。
お隣さんだったんだ。初めて隣の人に会った。
風見さんが帰ってきたら、今日のパパ間違い事件を話そうっと。
小夜はそう思いながら鞄を置くと、さっそく家事に取り掛かった。
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