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185 2019年9月7日
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どうしよう、今日・・・
とうとう風見さんを全て受け入れる。
朝から緊張して、食事の味がちっともわからなかった。
昼間もそわそわして、いつもはしないミスコピーを大量に出してしまった。散々な仕事ぶりだったけど、篠崎のおじさんは何も言わずに許してくれた。来週は挽回しなきゃ・・・。
そして、いまおれは風見さんの会社の裏手にある洋食屋さんで風見さんを待っている。
風見さんからは15分くらい待たせると連絡が来ていたから、オレンジジュースを頼んで店内でじっと待っていた。
あの日、風見さんがここに連れてきてくれて、「杉さんの名前、素敵ですね」って褒めてくれた。寂しかったおれの話を根拠強く聞いてくれて、優しいお兄さんだと思ったんだ。
あの日アドレスの交換をして、そして、休みの日にデートした。
大切な、大切な思い出。
ついこの前知り合ったのに、一緒に住みだして、いつの間にか季節は秋へ向かっている。
運ばれてきたオレンジジュースを啜りながら、感慨(かんがい)に耽(ふけ)った。
「お待たせ、小夜。」
あの日と同じ笑顔に、あの日とはちがう愛情のこもった声で、風見さんが微笑む。
・・・おれの太陽。
「ううん、お仕事お疲れ様でした。」
「何か注文した?」
「ジュースだけ。風見さん、何にする?」
「ここはオムライスでしょ?」
思い出のオムライス。
おれもメニュー見るまでもなく決めていた。
ふふ、とふたりで笑い合いオムライスを注文する。
あの日と変わらない味のオムライスだったけど、なんだか今日は大人な味がした。
お互い緊張しているのか、いつもとは違う雰囲気で。
でも嫌な感じではなく、なんだか照れ臭い感じがして。
あぁ、甘酸っぱいってこういうことなのかなって思った。
ふたりで電車を降りてマンションへ向かう。そのエレベーターの中で手を繋いだ。
やけにゆっくりと開くそのエレベーターの扉。手を引かれ、部屋へと向かった。
心臓の音がうるさい。
鍵を差し込もうとした瞬間、おれの体に衝撃が走った。
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