アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
190
-
美湖ちゃんを挟んで、3人でベッドに横たわる。
甘えられる存在が出来てうれしいのか、美湖ちゃんはずっとはしゃいでいた。はしゃぎ疲れてうとうとしだした彼女をベッドに寝かせると、寝たくないのか暫くぐずった。
「ずっとそばにいるから、寝てていいよ。」
そういって川の字になったら、美湖ちゃんは大人しく寝てくれた。
・・・強がって寂しくないと言っていたが、やっぱり寂しかったんだと思う。
美湖ちゃんのお母さんは、夕方から仕事に出ていった。部屋は入り口からキッチンまでのゴミを、半分ほど出し終えたらしい。
「ここが自由にゴミを出せる環境で良かったよ。」
風見さんが笑った。
ゴミの中から美湖ちゃんの服と母親の服を拾い集め、うちの洗濯機で洗って乾燥させた。風呂場は不衛生すぎて、母親にも美湖ちゃんと一緒に入って貰うという名目で、うちで入ってもらった。
人間らしい生活を、母親にも取り戻させなければならないと、風見さんは眉をひそめて話してくれた。
旦那さんの失踪によって、家庭が崩壊する。大学卒業後、すぐに専業主婦をしていた人を雇ってくれる企業は少ない。
授かり婚だったの。言っていた。
主人がもたらしてくれる幸せに甘えすぎていた結果だったんだと思います。
そう儚く笑う母親は、可哀想だった。
それでも、美湖ちゃんのために、しっかりと自分で立って貰わないといけない。
それが、母親の務めだと思った。
川の字で寝転がりながら、寝息を立てる美湖ちゃんの頭を撫でる。
「・・・可愛いね。」
「そうだな。小夜、母親になってる。」
「ふふ、そうかも。おれも産めたらいいのに。」
「産んでもらったら困るよ。セックス出来ないだろ?」
おれのことを気遣って、わざとそんなことをいう風見さんに頭が下がる。もし、だったら。なんて、意味のない事。
どんなに切望しても、おれは女性にはなれない。
美湖ちゃん越しにキスをした。
「寝よっか。」
「うん。おやすみなさい。」
「おやすみ、小夜。」
ちゅ、と音を立ててキスをしてから、部屋の電気を消した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
190 / 1523