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出してもらったペンを見て想像通りのものだった。
・・・これは、無いな。
「小夜、多分だけど、小夜が持ってきた書類の代金って数万から何十万するやつだと思うんだけどね。このペンって、100円とか200円とかのペンだよね?」
うん、と頷く。
「何十万もするものの受領書なのに、こんな安いペンで書かせる気か!って怒る人は世の中結構いるんだよ。石田は怒るっていうか、びっくりしたんだと思う。」
「・・・そうなんだ。」
今回はそのボールペンが、なにかの景品で名入をしたものでないだけマシなのかもしれない。
「おれ、常識ないね。」
「そんなことないよ。」
ここが会社でなければ、慰めて抱きしめるのに。
学生時代の常識は、通用しない社会だ。
「小夜は、これから色々勉強していく年齢だからね。今日は石田の反応に気付けたところが素晴らしいよ。」
ありがとう。そう言いながら小夜の唇が尖ってきた。
次は何を今度はお悩みかな?
「どうした?」
「変なこと聞くけど、ごめんね。石田さんと風見さんて・・・。」
ふふ、嫉妬したのか。
「同期だよ。普通の仲間だ。」
「ありがとう。ごめんね、変なこと言って。」
「大丈夫。聞いてくれた方が嬉しいからね。」
そう言って、コーヒーを一口飲んだ。
「小夜、時間大丈夫?」
「あ!戻んなきゃ!!コーヒーご馳走様でした。」
「下まで一緒に行くよ。」
早速エレベーターとは逆の方向に駆け出そうとした小夜の腕を掴むと、こっち、と指差した。
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