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「まさか熱愛宣言ぶち込むとは思ってなかったわよ。」
そう言って笑った彼女は元カノの小島さん。
「俺もビックリですよ。でも、ああでも言わないと澤田、諦めないでしょ?」
「ま、正解ね。」
二次会組と別れて小島さんと肩を並べて歩く。
9月の少し肌寒い夜風が吹いていた。
「懐かしいわね。こういう風が吹いた時、寒くなったねって笑いながら手を繋いだの。」
「・・・10年前です。あれから大人になりました。」
「ふふ、そうね。たまに思うのよ、あの時手を離さなければ良かったのか。それとも手を離したから良かったのかって。」
「小島さん・・・。」
「私もありのままを愛してくれる人と出逢いたいわ。」
空を見上げると、細くなった月が輝いていた。
『おれが産まれた時、三日月になった月がとても綺麗で、暗闇の中でも輝いて美しかったから、小さい夜で、さや、と名付けたそうです。』
ふと、小夜の言葉を思い出す。
とても綺麗だ。ご両親がつけた名前は、正しい。
「いつか・・・出逢えますよ。俺が出逢えたように。」
「ふふ、ありがとう。」
大人になったふたりを、月は昔と変わらず照らしている。
奇跡の出逢いを果たした俺と、出逢いを待ち望む彼女。
恋人同士であったの間を、秋の風が吹き抜けた。
彼女がどうか、愛し愛される幸せを得ることが出来ますようにと、風見は願わずにはいられなかった。
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