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風呂から上がったあと、昨日買ったお弁当をふたりで食べた。風見さんからマッサージをしてもらいながらウトウトして、ふたりで仲良く二度寝した。深く眠っていたのか、風見さんが起きだした気配に気が付かなかった。
・・・焦げてる!?
目が覚めたら焼け焦げた匂いがして驚いた。声をあげるとキッチンから風見さんが泣きそうな顔で現れた。
疲れ切ったおれのために、ホットケーキを作ろうとしての惨劇(さんげき)が生まれたという。
出来上がったものを見せてもらうと、表面は真っ黒で、割ってみると中はドロドロの恐怖の品だ。
「えっと、材料はまだ残っているのかな?」
「うん、あるけど・・・。」
不安そうな目線は、手元のフライパンを凝視している。
ふふ。
なんだか風見さんが可愛くて、嬉しくなった。
「じゃあね、小分けしてレンジで加熱してみて。」
しばらくすると、風見さんの歓声が上がった。
「小夜!カップケーキになったよ!」
キラキラした目で戻ってきて抱きしめられた。
「俺、これなら出来る!小夜のためにカップケーキ職人になる!」
そう言われて、思わず笑い転げた。
出来上がった大量のカップケーキをふたりで食べさせあって、のんびり過ごす。
いっぱいキスをして、いっぱい抱きしめ合った。
全身で愛を感じて、心が満たされた。
「風見さん、好き・・・。」
肩に体を預けて、テレビを見ながら頬にキスをした。
ちくちくする頬をすり寄せられ、「いたいー!」なんていちゃいちゃしながら過ごす時間。
幸せすぎて、どうしたらいいのか分からない。
「俺も好きだよ。」
優しく舌を絡めとられ、ベッドに寝かせられた。
全身を重ねて、風見さんの体重を感じながらのキスは息苦しかったけれど、その重みがふたりが出会った現実を教えてくれて、夢じゃなくて現実なんだと実感できた。
深くなっていくキスに「これ以上やると襲っちゃうから。」と中断され、不満が残る。
「・・・もっとシたい。」
「ダメ。」
鼻を摘ままれた。
「そしたら明日、小夜の事を抱っこしたまんまで麗(うらら)に会わせることになるからね。何やらかしたんだ?!て追求されるから、ダーメ。」
「ふふ、追求されちゃうんだ。」
「たぶんね『お兄ちゃん、バカなの?バカでしょ?』って詰められるね。」
したり顔で言う風見さんの様子に吹き出した。
「あははッ・・・じゃあ、キスはおあずけだね。」
「明日の帰ってからのお楽しみだな。」
「うん。」
妹さん夫婦に会いにいく。
風見さんの世界にどんどん入り込んでいく。
おれの一生を風見さんに捧げた。
風見さんも風見さんの一生をおれにくれた。
口約束だけど、多分、変わらない。
おじいさんになっても、おれは風見さんと一緒だ。
「ねぇ、小夜。」
「なに?」
「俺の事、名前で呼んで。」
・・・どうしよう、照れる。
両手で顔を覆って言った。
「あ・・・あかつきさん。」
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