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「ふふ、ごめんなさいね、お邪魔して。」
「いえ・・・。」
恥ずかしさのあまり、一気に発火した。
吹き付ける海風が気持ちよかった。
「小樽ガラスって男性だからご存知ないかしら。石油ランプの製造を明治期にしていたんですが、その名残で風鈴やアクセサリーとか・・・こういう感じの製品なんですけど、作っているんですよ。もしよければ、お土産に覗いて帰って下さいね。」
受け取ったパンフレットには、綺麗なガラス製品が載っていた。
・・・真由ちゃんにピッタリかも。
風見さんを見上げると、彼もそう思ったようだった。
「あとで寄らせていただきます。」
そう言って、お姉さんからおれたちは離れていった。
「・・・びっくりしたよ、おれ。」
「イチャイチャしてたからね。でも、真由ちゃんへのお土産決まったな?」
こそこそと話しながら歩いていく。
「うん!おれも良いなって思ったんだ。・・・暁さん、これ、ガス灯って言ってたよね。」
「だな。ガス灯って消えて無くなったと思ってたよ。」
ノスタルジックな街並みに、ぽわんとガスの明かりが灯る。
想像しただけで、なんだか心が浮き立った。
「どんな感じの灯りだろう。」
「見てから帰んなきゃな?」
と、明治・大正のロマンチックな雰囲気をもった綺麗な建物が現れた。
「あ、綺麗な建物。」
「旧日本郵船會社・・・立派だなぁ。」
ふたりで看板を読んだ。
「明治に建てられた石造二階建ての建築物。・・・一枚ものの絨毯にシャンデリア、金色に輝く壁。・・・入ってみよう?」
うん!」
------------※ ※ ※------------
「これ、見ないと損だよね。こっち、観光客があんまり居ないのって何でだろう?」
「やっぱり、運河とショッピング街に流れるんだろうなぁ。」
「凄く綺麗だった・・・重厚感あったよね!」
感想を言うと、風見さんはおれの頭をくしゃくしゃっと撫でた。
なんだか嬉しくて、へへへっと笑いがもれた。
手を繋いで歩こうと思ったら、肩を抱き寄せられた。
「寒いだろ?・・・こうやって歩こう?」
「うん・・・。」
風見さんとピッタリくっついて歩く。
時折見上げると、ん?と目を細めて見下ろしてくれた。
どうしよう・・・幸せすぎて爆発しそう。
風見さんの腰にそっと手を回して、寄りかかった。
・・・恋人同士の歩き方だ。
こんな風にくっついて歩けるなんて、思っていなかった。
冷たい空気が吹き付けるけど、全然気にならなくなっていた。
「小夜、また出てきたよ、旧手宮線。」
なんとなく廃線路に入っていく。
誰も近くに居ないことを確認して、風見さんの腕を引っ張った。
「暁さん。」
「ん?」
「すき・・・。」
背伸びをして、キスをした。
「・・・可愛いこと、するね。」
頭を抱き寄せられて、風見さんの胸に耳をつけた。
くぐもった声が、おれの中にダイレクトに響いていく。
なんだか痺れてきちゃいそう・・・。
「ドキドキした。・・・わかる?俺の心臓の音。」
「うん・・・ドキドキしてる。」
泣きたくなるくらい、その音が愛おしい。
風見さんと共に生きていることが、とても嬉しかった。
「旅先だから、手加減しないよ?」
小さく頷くと肩を掴まれ、体を離された。
風見さんが屈み込むように唇を寄せた。
・・・しっとりと重ねられる唇から、ちゅ、という音が出る。
舌先でノックされ、開くと舌が入ってきた。時間をかけて口の中が舐め取られていく・・・舌を絡め合い、互いを熱く燃える舌を引っ張った。
「んっ・・・はぁっ・・・。」
ガクガクと膝が笑いだす。
立っていられなくなった おれの背中とお尻をまさぐりながら支える風見さんに、もうおれは溶けきっていた。
ちゅ・・・
リップ音を立てて、唇が離れた。
「抱きたい・・・。」
しっかりと抱き寄せられた熱い体。
息が上がり、おれは頭がぼんやりとしている。
「抱いて、ほし、い。」
「後で・・・ぐちゃぐちゃにするよ?泣いて嫌がっても、止められない。」
そうして欲しかった。
本当は、今すぐにでも。
「朝まで愛して。」
一層強く抱きしめられたおれは、耳元で「仰せのままに」と低い声で囁かれた。
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