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・・・わかりやすい。
実に、わかりやすい。
風見は、男物のペンダントヘッドをジッと見ていた小夜の考えていることがわかって、内心微笑んだ。
多分、俺のための買い物をしてくれている小夜に、さて、何を返そうかと思案する。
昨日から誕生日のお祝いを頑張ってしてくれた小夜に、何か返してあげたいけれど、小夜の誕生日は来年6月で、まだまだ先の話だった。
当然、クリスマスも先。
この幸せな気持ちを形にしたくて、俺は悩んでいた。
過去、こんな幸せな気持ちにさせてくれた恋人なんていなかった。
階段を昇っていくと2階は手作り体験の工房を兼ねたスペースになっていた。
手前の棚には、見本がたくさん並んでおり、見た目が賑やかで楽しい。
奥はランプや、風鈴が飾ってあった。
・・・綺麗だな。
蒼の美しいガラスを見ていると、夏の空を思い出した。
と、ほくほくとした顔で、小夜が2階に上がってきた。
実にわかりやすい状況に、風見は吹き出しそうになる口元に力を入れて耐えた。
「真由ちゃんに、良いのあったかな?」
「あ。」
・・・忘れていたな。
「暁さんこそ、何かみつけた?」
「下にあったブレスレットかなぁ。ピアスは開けてるかわからないし、指輪はサイズがわからないし。(ネックレスは小夜が用意したプレゼントと被るし?)。悩むよね。」
そういうと小夜はホッとした顔をした。
これは間違いなく、ネックレスを買ったようだ。
「小夜、ブレスレットとお菓子で真由ちゃんはいいよね?」
「うん!」
ふたりの食費用の共通の財布から払い、店を後にした。
「さ。札幌に帰りますか?」
「うん!」
札幌に戻って、ホテルでチェックインしたら外で食事だ。
外はかなり暗くなっていた。
ますます魔法の世界に入り込みそうだと笑いながら、俺たちは駅までの緩やかな坂を登って行くのだった。
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