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三笠商事からの帰り道に、サイツカンパニーがある。
手土産のチョコの詰め合わせをもって、訪問した。
「わざわざ良かったのに。こちらが会議にお呼びしたのに申し訳ない。」
「いえ。実はあの後、休暇を頂きまして。のんびりさせていただきました。財津様には感謝しかございません。」
その話を聞いた財津は顔を綻ばせた。
「それはそれは。実は札幌は社長の故郷でして、本当なら本社で会議を行った方が手間がなくて良いんですが、故郷にお金を落としたいみたいで。年に一回、どこかのタイミングで札幌で会議を開くんですよ。」
楽しんで貰って良かったです。
財津は声を潜めた。
「うちの女の子たちから聞かれてしょうがないんだけど、風見さんは結婚してるのかな?」
同じく潜めた。
「いえ、結婚はまだですがお付き合いしている人がいます。」
「あちゃー・・・それ、言えないわ。女の子たちから殺されるかもしれん。」
「アハハ、随分物騒ですね。」
ニヤリとお互い笑いあって、今度飲みに行こうと言ってもらえた。
「宜しいんですか?」
「いいよ、これからライムさんとは長い付き合いになるだろう。キミには自ら恋人がいると女の子たちに言ってもらう仕事があるからね。俺が言うと、確実に八つ当たりされる。」
肩をすくめて怖い怖いと笑った財津に、微笑んだ。
「もし良ければ、御社のお付き合いの深い企業をご紹介頂けないでしょうか。」
「うおっ?!そうくるか。そうだなぁ、福利厚生とセキュリティの両方がカバーできるからなぁ・・・余力がありそうなのを思い出しておくよ。」
「ありがとうございます、美味しいお店にお連れします。」
そう言うと、心底おかしそうに笑ってくれた。
「明日、マネージャーさんと一緒に契約書を持ってこられるんだろ?」
「はい、予定通り伺います。」
「その時に紹介できるようなら準備しとくよ。」
節税対策として導入を選択する企業もある。
設備投資という面と、セキュリティ対策としての面と、福利厚生としての面を備えるため、余力のある会社を見つけなければならない。
深々とお辞儀をして退室した。
来年度の予算を組む前の今、入り込んで契約をとる。来年度の予算で対応してもらうために、仮契約でどんどん取って回らなければならない。
途中、そっぽを向かれないように気をつけながら・・・。
営業の仕事は嫌いではない。
自分で計画を立てて、進めていくことができる。
契約をとるために何をしていけば良いのかを考えて、実行に移すのは自分自身だ。
毎日が挑戦であり、毎日が緊張の連続だ。
うまくいくこともあるし、いかないこともある。
行き詰まり感のあった毎日が、小夜のおかげで変わってきた。そして、今は小夜のために頑張ろうと張り切っている。目標ができた今、力が漲っている感じがするのだ。
さあ、次の契約に向けて自分の足で企業も見つけなければ。
鞄から新聞を取り出して、広告を出している企業を探した。
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