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半分ウソ
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「レトさん」
君はいつも楽しそうに、俺の名前を呼ぶ。
大きな目を少し細めて、俺のことを愛おしそうに呼ぶ。
「なに、キヨくん」
本当はもっと愛想良く答えたいのに、俺の性格上素っ気ない対応にどうしてもなってしまう。
でもそんなことお構い無しに君は、犬みたいに駆け寄ってきて俺の身体を包み込んだ。
「俺さ、レトさんのこと好き」
「ん、知ってる」
胸の中に顔を沈めながら、幸せを噛み締める。
いい匂い。
ずっとこの中に包まれてたい。
「じゃあさ、俺が誰かと結婚することも知ってる?」
もちろん。
そう応えようとおもったのに、いきなり喉が詰まって吐く息だけが自分の口から漏れた。
「俺さ、馬鹿だよね」
どうして。
君は馬鹿じゃないよ。
そりゃあ、実況を撮ってる時はバカうるさいけど。
でも君は、人を思いやれる頭の賢い人だ。
だからこうして、俺のためを思って涙を零しているんだろう。
「泣かんといてや、キヨくん」
こういう時こそ、いつもは見せてない歳上アピールをしないと。
俺は君より大人でしっかりしていて、ちゃんと空気を読める人だって証明しよう。
「俺はキヨくんの幸せを願うよ」
この言葉は、半分ホント。
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