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ぼくの初恋(ふじいゆきはる・10歳)
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1、クラス替え
『神様、仏様、イエス様、5年生になってもどうかあっくんと一緒になれますように。他には何も望みません。あぁ、でも……ぼくの家族がみんな幸せでいられますように。あと、あっくんに彼女ができませんように。それから、あっくんがレギュラーになれますように……あっ!いっぱいお願いしてごめんなさい。だけど、どうかあっくんと同じクラスにしてください。ぼく、嘘もつかないし、勉強も一生懸命します。 だから、どうかお願い……』
昨日の夜、あんなに神様にお願いしたのに。
昨日だけじゃない。春休みに入ってから、ぼくは毎日欠かさずに神様に祈った。仏様にもイエス様にもちゃんと祈ったんだ。お母さんの言いつけも守ったし、お手伝いもたくさんした。嘘だってついていない。
とにかく、神様が怒るような悪いことなんか何一つしていない。
それなのに。
張り出された5年1組の名前の中には、あっくんの名前がなくて。
ぼくは深呼吸をして、もう一度ゆっくり確認した。そうして、恐る恐る覗き込んだ5年2組の名前の中に、その名前を見つけて泣きそうになる。しかも、ぼくのライバルの女の子の名前までそこにあった。
最悪……
ぼくの学校では二年毎にクラス替えがある。つまり、六年生もこのクラスのままなのだ。
来年は修学旅行があるのに……
それだけじゃない。林間学校も、夏休みのクラスキャンプも、運動会も、文化祭もあっくんと一緒になれないのだ。
最悪だ。
ぼくは目の前が真っ暗になった。
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