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パリの天使~ダヴィッド・アングラード
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Full name:David Louis Antoine Anglade
Date of birth:August 25,France Paris
Age:25
Father:Dimitri
Mother:Charlotte
Brother:Robert
Religion:Roman Catholism
フルネームはダヴィッド・ルイ・アントワーヌ・アングラード。
25年前の8月25日、パリ1区にて、ディミトリとシャルロッテの次男として誕生。
叔父はドミニック・アングラード。三ツ星レストランでミシュランガイド上位常連の「レストラン・アングラード」のオーナーシェフをつとめている。
祖父はジャン=ジャック、祖母はイタリア系フランス人のマリア=チェチーリア(ディミトリの父親と母親)。
代々料理人の家系に産まれ育っている。
「なんて、麗しいのかしらね」
「流石は21世紀に語り継がれるブルボン王太子。ルイ・シャルル王太子(ルイ17世)の成人した姿ね」
「優雅な立ち振る舞い。御伽噺から出てきた王子様のごとき」
「ゆくゆくは、M.O.Fの受賞者の仲間入り。雲の上の王子様」
ため息交じりの噂話がダヴィッドの耳元に入ってくる。人目を引くほどの容姿端麗、300年以上の歴史ある家柄、莫大な財産。
ダヴィッドがこの世に生を受けたときから、すべてを兼ね備えている。しかし、ダヴィッドにとってはいい加減聞き飽きた言葉。
王族専属の料理人・パティシエを先祖に持つ由緒正しきアングラード一族。
歴史は、バロック末期・・・1670年。
天涯孤独のジャン=ローラン・アングラードは、長年、子宝に恵まれていなかったジャン=バティストという料理人に拾われ、養子として育てられた。
ジャン=バティストの下で厳格な修行を乗り越えたジャン=ローランは、ロレーヌ王国を統治していたスタニスラス・レクチンスキー公爵の専属の料理人に就任。
25歳のとき、イタリア・メディチ家の末裔である18歳のマリア=ルチアを妻を迎え・・・
そこから、アングラード家のルーツが始まるのだった・・・
******
父ディミトリは、ジャン=ジャック・アングラードを父に持つ。母はオーストリア・ザルツブルク出身のシャルロッテ。ディミトリより5歳年下で、旧姓はウェーバー。ハプスブルク帝国の末裔で敬虔なカトリック。
兄ヨハン=ゲオルク、妹エリーザベト。ダヴィッドにとって叔父、叔母でもある。
共に現役のパティシエ・パティシエール。ヨハン=ゲオルクは地元で自分の店を構えていて、エリーザベトは製菓学校の教諭を務めている。
アングラード家は歴代M.O.Fの受賞者。
M.O.Fとは(Meilleur Ouvrier de France=国家最優秀職人賞)、大統領夫妻の下で製菓や料理を振舞うコンテストで、一般の料理・製菓コンクールとは一線を画する。
シャルロッテが若いときのこと。
女性が料理の道に足を踏み入れる、ということは、無謀の何物でもなかった。
瑠衣の祖母・牧子も例外ではない。
容赦ない怒声や罵倒は当たり前のように飛び交う。現在とは到底、比べ物にならないくらいだ。
「女のくせに」
「世間知らずの甘ちゃんが」
心に突き刺さる言葉だ。
批判的な態度、執拗な嫌がらせがシャルロッテを容赦なく襲う。
それでも、精一杯、シャルロッテは前を向いて修行に勤しんだ。
「何度も、心が折れそうになったわ。辛いとき、マリー・アントワネット王妃がコンシェルジュリに投獄され、処刑の瞬間まで気高く前を向いていたのを思い出したものよ。ハプスブルク帝国の皇女で14歳のときに、シンデレラの馬車のごとく輿入れ。ドレスや宝石に囲まれていたのが当たり前だったけれど、すべてを失ったとき・・・」
シャルロッテは口癖のように、マリー・アントワネットのことを話している。
「ダヴィッド、あなたに勿体ないくらいの将来の相手。リアルマリー・アントワネットのごときのアンヌを大事にしなきゃ。選り好みしている場合はあるわけがないわ」
ダヴィッドはその言葉にうんざりしている。
「ママンはうるさい」
婚約のとき、シェロー家とアングラード家は会食をしていた。
場所は「レストラン・ドゥ・アングラード」。ディミトリの兄ドミニックがオーナーシェフをつとめている。
ダヴィッドは仕立ての良いダークスーツ、質の良いブロンドの短髪。アンヌはシャネルスーツにブロンドをひっ詰めたシニヨンアップスタイル。
シェロー家はダヴィッドとアンヌの結婚を望んでいるようだ。
ダヴィッドの携帯の音が鳴っている。
『ボンソワール、ダヴィッド』
アンヌからの電話だ。
ダヴィッドは最早、耐えがたいものとなっている。アンヌの声は媚を含んだ声と思うようになっている。
瑠衣と出会う前は、なんとも思わなかったけれど・・・
『遊歩道Promenade Plantée(=庭園の路)に一緒に行きましょう。あそこのバラ園がとても綺麗のですよ』
ダヴィッドは答えられない。延々と続くであろうのアンヌの話にはうんざりしている。
ダヴィッドは咄嗟に言う。
『ごめんなさい・・・そろそろ、切らせていただきたいのですが・・・』
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