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Gâteau d'anniversaire(バースデーケーキ)
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「Bonjour!」
「Bonjour,LouLou」
フランソワと瑠衣がやり取りをしていた。
「ルル、元気になったか?」
「心配かけてごめん」
「元気になってよかった」
瑠衣はその日から、じっくりと自分の仕事に向き合った。
アンヌからの牽制は当分は、避けては通れそうにない。
方や、ダヴィッドはリセ・モンテーニュの授業。
その日は、「コクシネル」と「ショコラフランボワーズ」の講義。
「コクシネル」は、テントウムシ。
「幸運のシンボル」のモチーフ。
助手には、女子教諭二人。
休憩時間、男子生徒や女子生徒たちは、噂話に花を開く。
ダヴィッドは職員室に向かっている。
「婚約者のアンヌも、リセ・モンテーニュの二年後輩。彼女も武者修行として、来週から来るそうよ」
「そうそう。来年には、挙式するみたい。大聖堂で挙式、ハネムーンには、イタリア一周旅行で・・・」
「ところで、今日のスーツは濃紺。相変わらず、仕立ては凄く良いもので、フランス王国時代からの老舗だってさ・・・」
生徒たちの噂話は、かなり敏感のダヴィッド。
前日の瑠衣の様子がおかしいことに心配している。
瑠衣はなにやら、隠し事をしているに違いない。
どうにかして、なんとか、瑠衣を問いただしたいところだけど・・・
そんなとき、ロベールからLINEが来た。
「ダヴィッド、アメリが友達のお誕生日会に招待されたんだ。その子のデゼールだが、日本で定番のケーキに興味を持っているんだ。疲れているだろうが、終わったら、試作を手伝ってくれないか?ルイにも残ってもらった」
「日本のデゼール?なんだろう・・・?」
ダヴィッドは、急いで、コンコルドに向かった。
厨房では、ディミトリとロベール。そして、瑠衣が待っていた。
聞けば、アメリの友達の誕生会のデゼールだ。
日本(ジャポン)のガトーにすごく興味がある、とのこと。
前日、ロベールが瑠衣に相談をしていたようだ。
「参考程度だが、日本(ジャポン)の誕生日会はどんなデゼールを出されるのか?」
「ガト・オ・フレーズ、というイチゴのショートケーキです」
「フレジエに似ているのか?」
(フレジエは、「イチゴの木」という意味合い。バタークリームとカスタードクリームを融合したリッチな味わいのイチゴのケーキ)
「いえ、クレームシャンティ(生クリーム)とイチゴをスポンジではさみ、最後はナッペして仕上げるだけですね」
「かなり、さっぱりしている感じがするようだが。なるほど、日本(ジャポン)独自のデゼールか?」
「ルセットですが、実家のを持ってきました。こちらになります」
瑠衣はロベールたちに、玲央のルセットを手渡した。
そんな背景のもと、ガト・オ・フレーズの試作をした。
日本と違い、フランスの誕生日会では、クリーム系のケーキは、本来は避けなければいけない。
だが、今回は特別だ。
「鉄板(プラック)にペーパーを敷いて、ジェノワーズ生地の作成だ。ルイ、果物(フリュイ)の処理をしてくれ」
「ウイ」
瑠衣は果物の処理をする。この時期のイチゴはあまり旬ではないけれど。
「サンド用のクリームは若干固め、ナッペ用は少し、柔らかくしたほうが望ましい。」
ロベールからの助言だ。
「それから、ナッペ周りは常に綺麗にしておけ。作業性に左右されるのは言うまでもない」
こうして、スクエア型のガト・オ・フレーズの試作が完成。
「イチゴに限らず、季節の果物を使うのもいいみたいだ。この時期は、葡萄も良いだろう」
「葡萄は、種無しが望ましい。それにこだわらず、イチジクなども旬だが。兎に角、ヴァリエが広がるだろうな」
「Bonsoir,Anne!!」
「Bonsoir Monsieur!」
「あら、新作?」
「いや、姪っ子のアメリが友達の誕生日会に招待されているんだ。それで今、試作しているんだ」
「クリーム系のケーキは基本的にNGじゃないの?」
「本人が望むのなら・・・」
ダヴィッドはアンヌに対し、反論した。
アンヌは瑠衣に対して、嫉妬心メラメラだった。
瑠衣のせいで、二人が会えなくなる、と言わんばかりに。
ロベールの一人娘・アメリの友達の誕生日会が刻々と迫ってきた。
色々と迷った末、ガト・オ・フレーズ(イチゴのショートケーキ)に決定した。
「Merci,monsieur Robert!」
ガト・オ・フレーズは好評で、誕生日会は無事に成功した。
*****
作者yunaより。
今回はイチゴのショートケーキをテーマにしました。
Gâteau d'anniversaireは、バースデーケーキです。
ショートケーキは日本では定番。フランスでは見かけることはありません。
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