アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
革命所縁の,2
-
ああ・・・行かないでくれ・・・
ダヴィッドは瑠衣の腕を捕まえたい、という衝動に駆られていた・・・
翌日、歴代フランス国王たちが眠る「サン・ドニ大聖堂」に向かった瑠衣たち。
カトリックの墓地の名所で、サン=ドニ司教座に置かれている。
パリ北部にある。
パリとはいえど、メトロで一時間かかる。
現地で待ち合わせする予定だった。
前日、ダヴィッドからLINEが来た。
「勝手知ったる場所ではないだろうから」
メトロで一時間近く。13号線に乗り込んだ瑠衣たち。
降車場所は、Basilique de St Denis。
治安は悪く、カトリックの総本山であるバチカンといい勝負。
麻薬売買、スリ・・・最近はテロまで起きている、という。
サーシャも巻き込まれることもしばしば。
「そもそもここは、モンマルトルで迫害から斬首刑に処せられたフランスの守護聖人サン・ドニが、首を切り落とされた後も自分の頭部を拾って説教しながら歩き、たどり着いたときに、息絶えた。それに因んで、サン=ドニと名付けられたんだ」
ダヴィッドは斬首されたサン=ドニのレリーフを指さしながら、瑠衣に説明をした。
そして、聖堂の内部に入っていく。
ステンドグラスがとても美しく、厳かな雰囲気にさせてくれる。
「サン=ドニはフランスの王と王族が何世紀にもわたって埋葬されてきた場所なんだ。ブルボンの歴代国王・王妃がそこでねむっている」
「ダヴィッド、僕の洗礼名・ルイ9世の墓もあるんだ?」
「アングラード一族と所縁があったルイ15世とマリー・レグザンスカ(ポーランド出身の王女)、ルイ16世とマリー・アントワネット王妃、ルイ17世、ルイ18世(ルイ16世の弟)の墓もあるんだ」
ダヴィッドはルイ15世たちの墓場に近づくや否や、跪いて、十字を切った。
そのあと、ルイ16世とマリー・アントワネット王妃の像のある「サン・ルイの礼拝堂」に足を運んだ瑠衣たち。
「1793年にルイ16世、その10か月後にマリー・アントワネット王妃がギロチンにかけられた。最初は、マドレーヌ墓地に埋葬された。しかし、ルイ16世の弟ルイ18世の命令で誠意をもって埋葬しろ、と厳命のもとで作られたんだ。そして、王妃たちはは改めて埋葬された」
二人の像を見ているとき・・・
「二人のその姿は彼らを襲った悲劇を思いおこさせ、胸が締め付けられる思いをさせられるね・・・」
瑠衣たちはその心臓が保管されている場所にも足を運んだ。
そのあと、「サント=シャペル教会」に足を運んだ。
パリ1区にある。
瑠衣は、ステンドグラスに目を奪われた。
「わあ・・・」
ゴシック建築として有名であり、世界遺産の地としても名高い。
「ルイ9世の像がある」
瑠衣はルイ9世の像に敬意を払った。
そして、首にかけていたメダイを徐に取り出していた。
仕事中は、異物混入の恐れがあるため、外さなければいけない。
それ以外は、片時も手放さずに身に着けている。
瑠衣は幼児洗礼を受け、7歳のとき、初聖体・堅信を受けた。
そのお祝いとして、父から贈られたものだ。
聖ルイ9世のメダイである。
しかし、ネックスレスのチェーンがぷつり、と音を立てて切れ、メダイを床に落としてしまった。
顔面蒼白の瑠衣。
「やばっ・・・」
巡礼客の目線はとても白い。
慌てて、瑠衣はメダイを拾おうとするも、中々、見つからない。
「Excuse-moi・・・」
未だに、瑠衣を白い目で睨んでいる。
ダヴィッドも瑠衣に対して、冷ややかである。
「・・・何、やってんだか・・・」
「父さんから貰ったメダイを落としたようなんだ」
ダヴィッドは周りに会釈をしながら、メダイを探すのを手伝っていた。
諦めかけていたとき、巡礼に来ていた現地の修道女が
「ムッシュ?もしかして、こちらでしょうか?」
瑠衣はメダイの周りのデザインや模様も確認していている。
「あ、これです!。メルシー・ボク、シスター。ルイ・トウドウです」
ダヴィッドは一安心した。
「それじゃあ、明日」
「ダヴィッド今日はありがとう」
「De rien・・・」
******
作者yunaより。
歴代国王が眠るサン=ドニ地区。
しかし、治安がとても悪く、サーシャでさえ犯罪に巻き込まれるほど。
そのため、ダヴィッドは瑠衣と待ち合わせてサン=ドニに行くことに。
そして・・・
ローマ・カトリック信者は、修道女・修道士に対して、「シスター」、「ブラザー」と呼んでいます。
いわば、「先生」という意味合いですね。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 644