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特別注文
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「Bienvenue!」
「Bonjour」
リセ在学であろう、の男子生徒だ。
その日、瑠衣は接客をしていた。
落ち着いて接客をこなしている。
「Je voudrais commander un gateu d'anniersarie(ジュ・ヴドレ・コマンデ・ガトー・ダニヴェルセール)」
(バースデーケーキを注文したいのですが)
瑠衣は早速、名前を頂戴する。
「父が来週の日曜日、50になります。その節目で、なるべく甘みを抑えたガトーが望ましいのですが」
どんなものが相当するのかな?
「ルイ、ここは俺に任せろ」
ダヴィッドが瑠衣と交代する。
「ティラミスかル・ブレジリアンはいかがでしょうか?」
ル・ブレジリアン。フランス語で「ブラジリアン」
モカが効いたムースケーキ。ジェノワーズ生地にコーヒーが使われるのでコーヒー尽くし。
しかし、その男子生徒はなんだか、しっくりといかないようだ。
*******
「ベルナールさんの注文です。来週末、50を迎えられるそうです」
ダヴィッドはロベールにイラスト画付きの注文用紙を手渡した。
あくまでも希望ということを前提として。
「ヨアンが来たんですか?ヨアンは僕の幼馴染で、いつもLINEや電話し合っているほどなんです」
サーシャが言う。
「ベルナールさんは日本に非常に興味を持ってるようだ。ガトー・オ・フレーズ(イチゴのショートケーキ)が良いと思う」
ロベールとダヴィッド、男子生徒の依頼と話し合った結果、「ガト・オ・フレーズ」に決定した。
「コンコルド」では、お客の依頼による特製ガトーも作ることもある。
まずは、試作だ。
ジェノワーズ生地の焼成、生クリーム(通常のと乳脂肪分が高いのをブレンド)の口当たり、イチゴの糖度が重要。
「みんなの口に合うよう、水あめと卵黄を多くしたほうが、しっとりするだろう」
アメリの友人の誕生日会で好評済みだが、それでも、試作は必要だ。
それとともに、数も多くなってくる。当然、瑠衣やフランソワも協力している。リセ在学中のサーシャも親友のローランやアントワーヌたちにも協力してもらったりしていた。また、女子高校生のエレオノールやナディアにも。
「生クリーム好きの僕たちにとって、これは生唾ものだな」
「本当に」
サーシャとレイモンは試作のガト・オ・フレーズの生クリームを舐めながら話す。
「Ah bon?(ふーん)」
ロベールは二人を容赦なく凄む。
「生クリームじゃなくて、ガト・オ・フレーズだろう?」
「Exuse-moi(ごめんなさい)」
顔面蒼白のレイモンとサーシャだった。
その場にいた瑠衣も凍り付いていたほど。
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