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だいじなこと、またひとつ
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何れ終わる命を、どうして彼等はこうも重要視するのか。ずっと俺にはわからなかった。
今も、はっきりと分かっているかと言われれば、俺は《NO》と答えるだろう。
心配して、悲しんで、安心して、喜ぶ。
目まぐるしく変わっていく、悠斗の母親の感情。
その様は、不可思議で。でも、胸が温かくなる様な不思議な感覚すら覚えて。
感情というものが、少しずつ。
俺の中に芽生えているのだろう。
今までも完全になかった訳じゃない。
だが、突き動かされる様な感情をはっきりと自覚したのは、今回が初めてだ。
悠斗が母親との会話を終えて、俺を見る。
彼も泣いていたのか、目元が少し赤くなっているから。俺は指先で目尻を拭ってやった。
「ぼくね、あおくんと、しゅうくんとおともだちになれて、うれしかったの。でもね、おかあさんのきもち、かんがえてなかった」
そう言ってしょんぼりと俯く彼の背中をそっと押しながら、俺達は悠斗の自室に入った。
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