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いつかめ、しずかに
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昨日はあおくんにお願いしてお母さんとの時間を作った。沢山お喋りする僕に、最初はお母さんが驚いていたけれど。
途中からずっと僕のお話に耳を傾けていてくれて、少しだけ嘘をついちゃったけど、あおくんやしゅうくんに会えたんだってお話もした。
迷子になった僕と、遊んでくれたお兄ちゃんがいたんだよって、事にして。
お母さんは「お礼を言わなきゃね」なんて笑ってたけど、お母さんに2人は見えることが無いんだって僕は知ってるから。曖昧に笑うしか出来なかった。
それでも、僕にお友達が出来た事を自分の事みたいに喜んでくれて。僕も凄く嬉しかった。
今日を入れて、後三日。
そう思うと、胸が苦しくなった。
「しにたく、ないなぁ」
当たり前だけど、不意に、零れた言葉。
口にしたらカタン、と音がして。
気が付けばあおくんが、いた。
窓の外にいるあおくんは悲しそうに目を伏せて、後ろを向いてしまう。
それは、テレビの画面の中にでもいる様な、近くて遠い距離に見えて。触れたくて手を伸ばしたのに。
あおくんは、窓を開ける前に消えてしまった。
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