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ペチュニア 史郎side
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俺は基本静寂が好きだ。だけども、俺の周りに集まってくる人は元気で賑やかな奴ばかりだった。昼食を取るだけだというのに8人程集まってくるのだ。だから俺はせめて夜こそは静かに食べたいと思い、閉店ギリギリの食堂に毎日駆け込む。
俺が食堂で食べていると、珍しく人が入ってきた。そして、入ってきて俺を見ると直ぐに目をそらして、スタスタと歩き俺から一番遠い席に座った。俺はその入ってきた人の名前を知っていた。
神坂 幸
いつも静かで、俺が過ごしたいと思う方法で毎日を過ごしていて、ふと見たときに俺の好きな本を読んでいたから余計印象に残っていた。是非ともその本について話したいと思っていたのだ。話しかけるチャンスだと思った俺は幸の元へ歩き出した。
ちょうど隣に来たときに、幸は綺麗な声で
「いただきます。」
と言った。誰も見てないし。聞いてもいないのに礼儀正しい奴なんだと思った。余計気になり出した。椅子を引き隣に座っても、幸は気付かず白米を食べていた。箸の持ち方も綺麗だった。そして、声をかけた
「君、寮生だったっけ?」
この言葉を言った後に後悔した。この言い方だとまるで『君寮生じゃないでしょ。俺君のこと知ってるよ。』ってストーカーみたいじゃないか!
すると、彼は驚いてこちらを見ると、悲しそうな顔で目をそらして、
「違う…今日から…」
と返事をしてくれたが、なぜか冷たい言い方だった。もしかして、気持ち悪がられたか…いきなり話したのを嫌がっているのか…頭の中でぐるぐると考えを巡らせた。隣に座ってしまい、脚も緊張で動かなくなってしまった。必死に余裕を見せようと、
「そっか。じゃあ分からないことが多いだろうから、俺が教えてあげる。」
なんて言った。すると幸は一瞬だったが眉をひそめた。明らかに嫌がった顔だった。嫌だったのか…
「あれ?嫌?」
と言った…というか口から勝手に出ていた。
「そんなことないよ。でも、大丈夫。」
と幸は明らかに拒否した。が、その後寂しそうに下を向いて箸をぎゅっと握ったのを見て、必死に俺を遠ざけようとしているのでは、と思った。
俺も冷静になるために一度食器を返しに席を立った。深呼吸しながら、返却口に向かい、今まで言ったこともない癖に
「ごちそうさまでした」
と小声で言った。言ったことで気持ちがすっきりした気もした。
ペチュニアの花言葉
「あなたと一緒なら心がやわらぐ」「心のやすらぎ」
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